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また、相続放棄をした後でも、放棄時に実家を現に占有していた場合には一定の保存義務が残ることがあります。相続財産を処分すると法定単純承認とみなされる可能性もあるため、実家の売却や解体、家財の処分などを行う前に注意が必要です。
相続放棄の申述が家庭裁判所に受理された後に、「やはり実家を相続したい」「思ったより借金が少なかった」などと気が変わっても、自由に撤回することはできません。
一方で、詐欺や強迫、錯誤など、民法の総則や親族に関する規定によって取消しが認められる事情がある場合には、例外的に相続放棄を取り消せる可能性があります。
ただし、「借金が多いと思っていたが、後から高額な預金が見つかった」というだけで当然に取消しが認められるわけではありません。
取消しを行う場合にも家庭裁判所への申述が必要です。また、取消権は、追認できる時から6か月間行使しない場合、または相続放棄をしてから10年を経過した場合には消滅します。
相続放棄は後から簡単にやり直せる手続きではないため、可能な範囲で財産と負債を調査したうえで判断することが大切です。
相続放棄を検討している間に相続財産を処分すると、法律上、相続を単純承認したものとみなされる可能性があります。相続放棄後に財産を隠したり、自分のために消費したりした場合にも、法定単純承認が問題になることがあります。
たとえば、相続放棄をする前に実家を売却したり、価値のある家財を売って代金を自分のものにしたりすると、相続財産の処分と評価されるおそれがあります。実家そのものを解体する行為も、通常は重大な処分行為になるため、相続放棄を予定しているのであれば自己判断で進めない方が安全です。ただし、倒壊の危険を防ぐために緊急の措置を行うなど、財産を維持するための保存行為にあたるケースもあり得ます。
相続放棄をした人が、相続放棄をした時点で相続財産に属する財産を現に占有している場合に、その財産を相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで、自己の財産と同一の注意をもって保存しなければなりません。
たとえば、親と実家で同居しており、親の死亡後もその家に住み続けている状態で相続放棄をした場合には、実家を現に占有していると評価される可能性があります。
一方、親とは長年別居しており、遠方の実家を実際に使用・管理していなかった場合には、相続人だったというだけで当然に保存義務を負うわけではありません。
改正後の民放では、現に占有している財産についての「保存」に義務が限定されました。
ただし、保存義務が「現在の状態をそのまま放置してよい」という意味ではありません。たとえば屋根瓦が落下しそうで周囲に危険を及ぼしている場合には、被害を防ぐために必要な対応が求められる可能性があります。どの程度の措置が必要になるかは、建物の状態や危険性などによって異なります。
子どもだけでなく、次順位となる直系尊属や兄弟姉妹なども相続放棄し、結果として相続する人がいなくなった場合には、家庭裁判所による「相続財産清算人」の選任が問題になります。
相続財産清算人は、被相続人の土地や預貯金などを管理し、債権者への支払いなどの清算を行います。清算後に残った財産については、特別縁故者への財産分与などを経たうえで、最終的に国庫へ帰属することがあります。
ただし、相続放棄をした人に、必ず自分で相続財産清算人の選任を申し立てなければならないという一般的な義務があるわけではありません。一方、相続放棄後も実家を現に占有しており、保存義務を負っている場合には、財産を引き渡して義務を終了させるため、相続財産清算人の選任を検討することがあります。
相続放棄時に実家を現に占有しており保存義務を負っている人が、危険な状態を放置した結果、瓦や塀の倒壊などによって第三者に損害を与えた場合には、具体的な事情によって損害賠償責任が問題になる可能性があります。
ただし、事故が発生したからといって、相続放棄をした人が必ず責任を負うわけではありません。占有関係や保存義務の有無、必要な注意を尽くしていたかなどを個別に確認する必要があります。
また、適切に管理されていない空き家については、空家法に基づく「管理不全空家」や「特定空家」の対象となることがあります。特定空家等については、市区町村による指導・勧告・命令のほか、一定の場合には代執行による除却などが行われる制度があります。
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