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異父・異母きょうだいの相続問題について

初めに

ご家族間での話し合い、情報共有は重要

相続手続きでは、まず被相続人の出生から死亡までの戸籍を集め、誰が相続人になるのかを確認します。

これを相続人調査といいます。

相続人調査をした結果、これまで家族が知らなかった前婚の子、認知された子、養子、異父きょうだい、異母きょうだいが判明することがあります。

異父・異母きょうだいがいる相続で特に注意したいのは、相続の場面によって相続分の考え方が変わることです。

異父・異母きょうだいとは

異父きょうだいとは

異父きょうだいとは、母親は同じで、父親が異なるきょうだいのことです。

たとえば、母が前夫との間に子Aをもうけ、その後再婚して後夫との間に子Bをもうけた場合、AとBは母を同じくする異父きょうだいです。

母の相続では、AもBも母の子です。

そのため、母の相続においては、AとBは同じ子として同じ相続分を持ちます。

一方、Aの父の相続については、BはAの父の子ではないため、当然には相続人になりません。

異母きょうだいとは

異母きょうだいとは、父親は同じで、母親が異なるきょうだいのことです。

たとえば、父が前妻との間に子Aをもうけ、その後再婚して後妻との間に子Bをもうけた場合、AとBは父を同じくする異母きょうだいです。

父の相続では、AもBも父の子です。

そのため、父の相続においては、AとBは同じ子として同じ相続分を持ちます。

一方、Bの母の相続については、AはBの母の子ではないため、当然には相続人になりません。

半血きょうだいと全血きょうだい

相続では、父母の両方を同じくする兄弟姉妹を「全血兄弟姉妹」といいます。

父母の一方だけを同じくする兄弟姉妹を「半血兄弟姉妹」といいます。

異父きょうだいも異母きょうだいも、兄弟姉妹同士の関係で見れば半血兄弟姉妹です。

ただし、半血兄弟姉妹だからといって、どの相続でも相続分が半分になるわけではありません。

親の相続では、同じ親の子として相続分は同じです。

兄弟姉妹の相続で、兄弟姉妹が相続人になる場合に、半血兄弟姉妹の相続分が全血兄弟姉妹の2分の1になるのです。

異父・異母きょうだいが関係する相続の2つのパターン

親の遺産を異父・異母きょうだいと分ける場合

まず多いのが、親の遺産を異父・異母きょうだいと分けるケースです。

たとえば、父Aが亡くなり、現在の妻との子Cだけが相続人だと思っていたところ、戸籍調査で前妻との子Dがいることが分かった場合です。

この場合、CとDは父Aを同じくする異母きょうだいです。

父Aの相続では、CもDも父Aの子です。

したがって、CとDの相続分は同じです。

父Aに配偶者がいなければ、CとDが2分の1ずつ相続します。

父Aの遺産が1,000万円であれば、Cが500万円、Dが500万円を相続することになります。

配偶者がいる場合の相続分

父Aが亡くなった時点で、配偶者Bがいる場合は、配偶者と子が相続人になります。

この場合、配偶者Bの法定相続分は2分の1、子全体の法定相続分は2分の1です。

子がCとDの2人であれば、子全体の2分の1をCとDで均等に分けます。

たとえば、父Aの遺産が4,000万円の場合、配偶者Bが2,000万円、子Cが1,000万円、子Dが1,000万円を相続します。

このように、親の相続では、異母きょうだいであっても、同じ親の子として相続分は同じです。

異母きょうだいは自分の母の相続人にはならない

注意したいのは、異母きょうだいは、当然に自分の母の相続人になるわけではないという点です。

たとえば、父A、後妻B、後妻Bの子C、前妻Eの子Dがいる場合を考えます。

Dは父Aの子なので、父Aの相続人になります。

しかし、Dは後妻Bの子ではありません。

後妻BとDが養子縁組をしていない限り、Dは後妻Bの相続人にはなりません。

同じように、Cは前妻Eの子ではないため、Cは前妻Eの相続人にはなりません。

異父・異母きょうだいの相続では、「誰が亡くなったのか」「その人と法律上の親子関係があるのか」を確認することが重要です。

兄弟姉妹の遺産を異父・異母きょうだいと分ける場合

兄弟姉妹が相続人になるケース

次に、兄弟姉妹の遺産を異父・異母きょうだいと分けるケースです。

兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に子や孫などの直系卑属がおらず、父母や祖父母などの直系尊属もいない場合です。

さらに、被相続人に配偶者がいれば、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。

被相続人に配偶者も子も直系尊属もいない場合は、兄弟姉妹だけが相続人になります。

この場面では、全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹で法定相続分が異なります。

半血きょうだいの相続分は全血きょうだいの2分の1

民法では、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とされています。

たとえば、父母を同じくする兄弟Bと、父だけを同じくする異母きょうだいCがいる状態で、Aが亡くなったとします。

Aには配偶者も子も父母もいないため、兄弟Bと異母きょうだいCが相続人になります。

この場合、Bは全血兄弟姉妹、Cは半血兄弟姉妹です。

Cの相続分は、Bの2分の1になります。

遺産が1,500万円であれば、Bが1,000万円、Cが500万円を相続する計算になります。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合

被相続人に配偶者がいて、子も直系尊属もいない場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。

この場合、配偶者の法定相続分は4分の3、兄弟姉妹全体の法定相続分は4分の1です。

兄弟姉妹の中に全血きょうだいと半血きょうだいがいる場合は、兄弟姉妹全体の4分の1を、全血きょうだいと半血きょうだいの割合に応じて分けます。

半血きょうだいは、全血きょうだいの2分の1の相続分です。

具体的な割合は、相続人の人数や関係によって変わります。

非嫡出子との違いに注意

非嫡出子の相続分は嫡出子と同じ

半血きょうだいの相続分と混同されやすいのが、非嫡出子の相続分です。

非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいいます。

かつては、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とされていました。

しかし、現在は、非嫡出子の相続分は嫡出子と同じです。

つまり、親の相続において、婚姻中の子であるか、婚姻外の子であるかによって相続分に差はありません。

半血きょうだいの2分の1ルールは兄弟姉妹相続の話

一方で、半血きょうだいの相続分が全血きょうだいの2分の1になるルールは、兄弟姉妹が相続人になる場面の話です。

親の相続ではありません。

たとえば、父の相続で、前妻との子と後妻との子がいる場合、どちらも父の子である以上、相続分は同じです。

しかし、兄弟姉妹の相続で、父母の両方を同じくする兄弟と、父母の一方だけを同じくする兄弟が相続人になる場合、半血きょうだいの相続分は全血きょうだいの2分の1になります。

この違いを誤解すると、相続分の計算を間違えてしまいます。

異父・異母きょうだいがいる相続で必要な手続き

まず相続人調査を行う

異父・異母きょうだいがいるかどうかは、戸籍を確認しなければ分からないことがあります。

相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍などを取得し、相続人を確認します。

前婚の有無、認知した子、養子縁組、離婚歴、再婚歴などを戸籍から確認します。

相続人調査をしないまま手続きを進めると、後から新たな相続人が見つかり、遺産分割協議をやり直すことになる可能性があります。

相続人全員で遺産分割協議をする

遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

異父・異母きょうだいであっても、法律上の相続人である以上、遺産分割協議に参加してもらう必要があります。

一部の相続人を除外して作成した遺産分割協議書は、原則として有効な協議書とはいえません。

たとえば、前妻との子がいることを知りながら、その人を除いて現在の家族だけで遺産分割協議書を作成しても、相続手続きが進まない可能性があります。

遺産分割協議書に全員の署名押印が必要

遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、実印で押印するのが一般的です。

不動産の相続登記や預貯金の解約手続きでは、相続人全員の印鑑証明書が必要になることもあります。

疎遠な異父・異母きょうだいがいる場合でも、遺産分割協議書への協力を得なければ、手続きが進まないことがあります。

異父・異母きょうだいがいる相続で起こりやすいトラブル

相続人の存在を知らなかった

最も多いトラブルの一つが、相続人の存在を知らなかったケースです。

家族が「相続人は自分たちだけ」と思っていたところ、戸籍調査で前婚の子や認知された子が判明することがあります。

感情的に受け入れにくい場合もありますが、法律上の親子関係がある以上、相続人として扱う必要があります。

相続人の存在を無視して手続きを進めることはできません。

連絡先が分からない

異父・異母きょうだいと長年交流がない場合、住所や連絡先が分からないことがあります。

この場合、戸籍の附票などを取得して住所を確認する必要があります。

ただし、突然相続の話をすると相手が警戒することもあります。

最初の連絡では、感情的な表現を避け、被相続人が亡くなったこと、相続手続きが必要であること、相続人として連絡していることを丁寧に伝えることが大切です。

感情的な対立がある

異父・異母きょうだいがいる相続では、親の離婚、再婚、認知、前婚の事情などが背景にあることがあります。

そのため、単なる財産分けではなく、過去の家族関係や感情が影響することがあります。

「会ったこともない人に遺産を渡したくない」

「前妻の子に財産を渡したくない」

このような感情が出ることもあります。

しかし、法律上の相続人であれば、感情とは別に相続権があります。

感情的な対立が強い場合は、早めに専門家へ相談しましょう。

この記事の監修者

行政書士法人クローバー法務事務所代表行政書士 大山悠太

監修者

行政書士法人クローバー法務事務所

代表行政書士

大山悠太

経歴

プロフィール
【経歴】
 
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
 
2017年11月:行政書士試験合格
 
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
 
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
 
【保有資格】
 
TOEIC745
 
宅地建物取引士
 
行政書士(申請取次)
 
ビジネス実務法務検定2級
 
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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