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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
公正証書遺言に比べて費用を抑えやすく、思い立ったときに作成できるというメリットがあります。
また、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、遺言書の紛失、破棄、隠匿、改ざんを防ぎやすくなり、相続開始後の家庭裁判所の検認も不要になります。
しかし、ここで注意しなければならないことがあります。
法務局に預けたからといって、遺言書の内容まで安全になるわけではありません。
法務局では、自筆証書遺言の形式面について外形的な確認を受けることはできます。
しかし、遺言内容が法律的に有効か、相続手続きで使いやすいか、相続人同士の争いを防げる内容かまでは確認してくれません。
そのため、形式上は有効でも、実際の相続手続きで困る自筆証書遺言になってしまうことがあります。
自筆証書遺言とは、遺言者本人が遺言書の全文、日付、氏名を自書し、押印して作成する遺言書です。
公証人や証人の立会いは不要です。
そのため、自分一人で作成でき、費用を抑えやすいというメリットがあります。
一方で、方式不備や内容不明確によって、相続開始後に問題が起きることがあります。
自筆証書遺言では、遺言書本文は自書する必要があります。
ただし、財産目録については、自書でなくても構いません。
パソコンで作成した財産目録や、通帳のコピー、不動産の登記事項証明書などを添付することができます。
ただし、自書によらない財産目録を添付する場合は、各ページに遺言者本人の署名押印が必要です。
両面に記載がある場合は、両面に署名押印する必要があります。
出所:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00240.html?utm_source
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すると、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえます。
この制度には、次のようなメリットがあります。
遺言書の紛失を防ぎやすい
相続人による破棄、隠匿、改ざんを防ぎやすい
原本と画像データが保管される
相続開始後の家庭裁判所の検認が不要になる
相続開始後に遺言書の存在を通知する仕組みがある
保管申請時に形式面の外形的チェックを受けられる
自宅保管に比べると、安全性は高くなります。
法務局保管制度の注意点は、遺言書の内容までは確認してくれないことです。法務局では、遺言書の形式について外形的な確認は行われます。
しかし、次のような点までは判断してくれません。
誰にどの財産を取得させる内容なのか明確か
相続手続きで使える表現になっているか
不動産の記載が正確か
遺留分への配慮があるか
受遺者や相続人を正確に特定できるか
財産の範囲が曖昧でないか
遺言執行者の指定が適切か
将来財産が変わった場合にも対応できるか
つまり、法務局に預けたからといって、遺族が困らない遺言書になるとは限りません。
自筆証書遺言では、訂正方法にも法律上のルールがあります。
単に二重線を引いたり、上から書き足したりするだけでは、正しい訂正にならないことがあります。
民法では、自筆証書遺言の加除その他の変更について、遺言者が変更場所を指示し、変更した旨を付記して署名し、変更場所に押印する必要があると定められています。
自筆証書遺言を訂正する場合は、無理に訂正するよりも、最初から書き直す方が安全です。
自筆証書遺言では、言葉の選び方が非常に重要です。
よくある失敗が、「任せる」「託す」「お願いする」などの曖昧な表現です。
たとえば、次のような記載です。
「長男に自宅を任せます。」
このような表現では、財産を取得させる趣旨なのか、単に管理や手続きをお願いする趣旨なのかが分かりにくい場合があります。
相続人が一人であれば問題にならないこともあります。
しかし、他に相続人がいる場合は、解釈をめぐって争いになる可能性があります。
財産を取得させたい場合は、相続人には「相続させる」、相続人以外には「遺贈する」と明確に書くことが大切です。
遺言書で財産の範囲が曖昧だと、相続開始後に争いになることがあります。
たとえば、次のような記載です。
「預貯金は長女に相続させる。」
この場合、普通預金や定期預金は含まれるとしても、投資信託、株式、外貨建商品、国債などが含まれるのかが問題になることがあります。
遺言者としては「金融機関にあるお金や金融商品全体」を長女に渡したいと思っていたかもしれません。
しかし、「預貯金」とだけ書くと、有価証券や投資信託が含まれないと解釈される可能性があります。
金融資産全体を取得させたい場合は、「遺言者が有する一切の金融資産」など、範囲が分かる表現を検討しましょう。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために手続きを行う人です。
遺言執行者を指定しておくと、預貯金の解約や遺贈の実行などが進めやすくなります。
しかし、遺言執行者の選び方にも注意が必要です。
たとえば、遺言者と同年代の友人を遺言執行者に指定した場合、相続開始時にはその友人も高齢になっていて、遺言執行が難しいことがあります。
また、相続人の一人を遺言執行者にすると、他の相続人から不信感を持たれることもあります。
遺言執行者には、年齢、健康状態、事務能力、公平性、相続人との関係を考えて指定する必要があります。
争いが予想される場合や遺贈がある場合は、専門家を遺言執行者に指定することも検討しましょう。
遺言書では、誰に財産を取得させるのかを明確に記載しましょう。
相続人に財産を取得させる場合は、「相続させる」と書くのが一般的です。
相続人以外の人に財産を渡す場合は、「遺贈する」と書きます。
「任せる」「託す」「お願いする」といった曖昧な表現は避けましょう。
遺言書では、財産を正確に特定することが重要です。
預貯金であれば、金融機関名、支店名、預金種別、口座番号を記載します。
不動産であれば、登記事項証明書を確認し、登記上の情報に基づいて記載します。
株式や投資信託であれば、証券会社名、口座番号、銘柄などを確認しましょう。
財産が多い場合は、財産目録を作成して整理することをおすすめします。
遺言書は、作成時点の財産だけを前提にすると、将来困ることがあります。
預貯金口座を変える、不動産を売却する、証券口座を移す、財産額が増減するなど、財産内容は時間とともに変わります。
そのため、特定の財産だけに限定するのか、死亡時に有する財産全体を対象にするのかを考える必要があります。
特に、寄付や遺贈をしたい場合は、財産移動によって遺贈が実現できなくならないよう、表現を工夫しましょう。
遺言書の内容を確実に実現するためには、遺言執行者を指定しておくことが有効です。特に、次のような場合は遺言執行者の指定をおすすめします。
相続人以外への遺贈がある
寄付をする
相続人間で争いが予想される
預貯金や証券口座が多い
不動産がある
財産の分け方が複雑
相続人に手続きを任せるのが不安
遺言執行者には、信頼できる人を指定する必要があります。
同年代の友人だけでなく、年下の親族や専門家、法人なども含めて検討しましょう。
自筆証書遺言は手軽に作成できますが、内容が複雑な場合は注意が必要です。たとえば、次のようなケースです。
不動産が複数ある
相続人以外への遺贈がある
寄付をしたい
遺留分への配慮が必要
事業用財産がある
相続人間で争いが予想される
認知症の相続人がいる
二次相続まで考えたい
このような場合は、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言を検討した方が安心です。
自筆証書遺言は、日付、署名、押印、訂正方法、財産目録の署名押印などに不備があると、無効や手続き不能の原因になることがあります。
公正証書遺言であれば、公証人が関与して作成するため、方式不備のリスクを大きく減らせます。
また、原本が公証役場に保管されるため、紛失、破棄、隠匿、改ざんのリスクも少なくなります。
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