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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
自筆証書遺言は、自分一人で作成でき、費用もほとんどかからないため、手軽な遺言書として利用されています。
しかし、手軽に作成できる反面、内容や形式に不備があると、相続開始後に使えない遺言書になってしまうことがあります。
遺言書の不備が明らかになるのは、遺言者本人が亡くなった後です。
その時点では、本人に書き直してもらうことはできません。
そのため、自筆証書遺言を作成する場合は、形式だけでなく、相続手続きで実際に使える内容になっているかを確認することが非常に重要です。
自筆証書遺言は、民法で作成方法が定められています。
原則として、遺言者本人が、遺言書の全文、日付、氏名を自書し、押印する必要があります。
パソコンで本文を作成したり、日付がなかったり、押印がなかったりすると、遺言書として無効になる可能性があります。
また、訂正方法にもルールがあります。
単に二重線を引いて訂正印を押すだけでは不十分になることがあります。
このように、自筆証書遺言は手軽に作成できる一方で、法律上の形式を守らなければならない点に注意が必要です。
公正証書遺言では、公証人が関与して遺言書を作成します。
一方、自筆証書遺言は、自分だけで作成できるため、内容のチェックを受けないまま完成してしまうことがあります。
その結果、形式は整っていても、相続手続きでは使いにくい内容になっていることがあります。
たとえば、不動産の特定が不十分、預貯金の記載漏れ、相続人の氏名が曖昧、財産を渡す意思が明確でないなどです。
自筆証書遺言では、遺言者の想いや感謝の気持ちが丁寧に書かれていることがあります。
もちろん、家族への感謝や想いを残すことは大切です。
しかし、遺言書は、相続手続きで使える内容になっていなければなりません。
誰に、どの財産を、どのように承継させるのかが明確でないと、金融機関や法務局で手続きが進まないことがあります。
感謝の気持ちは付言事項として書くことができますが、財産承継の部分は、法律上・実務上使える表現にする必要があります。
不動産を特定する場合は、住所ではなく、登記事項証明書に記載されている所在、地番、家屋番号などで特定するのが基本です。
住所だけでは、不動産登記上の物件と完全に一致しないことがあります。
特に、土地と建物で表示が異なる場合や、マンション、複数筆の土地、共有不動産などでは、住所だけでは特定が不十分になる可能性があります。
このような遺言書が見つかった場合、法務局に事前相談を行い、相続登記で使えるか確認する必要があります。
「託す」「任せる」という言葉は、財産を相続させるのか、管理だけを頼むのか、売却を任せるのかが分かりにくい表現です。
不動産登記や預貯金解約の場面では、財産を承継させる意思が明確であることが重要です。
そのため、財産を特定の人に渡したい場合は、「相続させる」「遺贈する」など、法律上意味が明確な表現を使いましょう。
不備があるように見える自筆証書遺言が見つかった場合でも、すぐに使えないと決めつけるべきではありません。
遺言書全体の内容や、財産の特定方法、相続人関係、添付資料などから、手続きに使える可能性がある場合もあります。
自筆証書遺言に不備がある場合でも、相続人全員が合意できるのであれば、遺産分割協議によって相続手続きを進める方法があります。
遺言書がある場合でも、相続人全員の合意により、遺言書とは異なる内容で遺産分割協議を行うことができる場合があります。
ただし、受遺者がいる場合や、遺言執行者がいる場合、遺言内容によっては慎重な判断が必要です。
遺産分割協議に切り替える場合でも、故人の意思を尊重しながら、遺言書の内容を参考にして協議することが考えられます。
相続人間で遺言書の有効性や内容について争いがある場合は、弁護士へ相談する必要があります。
行政書士は、戸籍収集、遺産分割協議書作成、遺言書作成サポートなどを行うことはできますが、相続人間の紛争交渉や訴訟対応は弁護士の業務です。
遺言書の不備によって相続人同士が対立している場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。
自筆証書遺言には、法務局で保管してもらえる制度があります。
この制度を利用すると、遺言書の紛失、破棄、隠匿、改ざんのリスクを減らせます。
また、相続開始後の家庭裁判所の検認も不要になります。
しかし、法務局の自筆証書遺言書保管制度は、遺言内容の法律的な有効性や、相続手続きで使える文言かどうかを保証する制度ではありません。
法務局は、遺言書の様式や外形的な形式を確認しますが、内容について相談に応じるわけではありません。
たとえば、財産の特定が不十分な遺言書や、「託す」「管理させる」といった曖昧な文言の遺言書でも、形式面が整っていれば保管される可能性があります。
つまり、法務局で保管されたからといって、相続開始後に問題なく使えるとは限りません。
保管制度は非常に便利な制度ですが、内容面の不備を防ぐには、作成前に専門家へ相談することが大切です。
注意点
不動産を遺言書に記載する場合は、住所ではなく、登記事項証明書の表示を確認しましょう。
土地であれば、所在、地番、地目、地積を確認します。
建物であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を確認します。
マンションの場合は、敷地権や専有部分の表示にも注意が必要です。
相続人に財産を承継させる場合は、「相続させる」と記載するのが一般的です。
相続人以外の人に財産を渡す場合は、「遺贈する」と記載します。
文言によって手続きが変わる可能性があるため、相続人か相続人以外かを確認してから記載しましょう。
これらの表現は、気持ちを伝える言葉としては使えますが、財産承継の文言としては不十分になることがあります。
財産を渡す部分は明確に書き、気持ちは付言事項として分けて書くことをおすすめします。
記載漏れの財産を防ぐために、「その他一切の財産」についても承継先を定めておくと安心です。
たとえば、個別に自宅や預貯金を記載したうえで、最後に残りの財産についても誰に相続させるかを記載します。
これにより、後から見つかった財産について遺産分割協議が必要になるリスクを減らせます。
死因贈与は契約です。
そのため、財産を受け取る人と事前に合意したうえで財産を渡すことができます。
相手が受け取る意思を持っていることを確認できるため、相続開始後に「受け取りたくない」と言われるリスクを減らしやすくなります。
死因贈与では、負担付死因贈与契約を結ぶことができます。
たとえば、介護、生活支援、墓の管理、ペットの世話などを負担として定めることがあります。
このように、財産を渡す代わりに一定の義務を負ってもらいたい場合は、死因贈与が選択肢になります。
死因贈与契約書を作成しておけば、贈与者と受贈者の間で、どの財産を、どの条件で、いつ渡すのかを明確にできます。
当事者間の合意が文書で残るため、契約内容を説明しやすくなります。
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