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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
その中でも特に注意が必要なのが、遺言書を作成した後に配偶者と離婚した場合です。
結論からいうと、遺言書を作成した後に離婚したとしても、遺言書全体が当然に無効になるわけではありません。
離婚したからといって、過去に作成した遺言書が自動的に消えるわけではないのです。
そのため、遺言書の内容によっては、元配偶者に財産が渡る可能性があります。
ただし、離婚という法律行為が、遺言書の内容と抵触すると判断される場合には、その抵触する部分について遺言が撤回されたものと扱われる可能性もあります。
つまり、離婚後の遺言書の効力は、単純に「有効」「無効」と決められるものではなく、遺言書の文言、作成時の事情、離婚の経緯、その後の関係、遺言者の意思などを踏まえて判断されることがあります。
遺言書を作成した後に配偶者と離婚しても、それだけで遺言書全体が当然に無効になるわけではありません。
たとえば、次のような遺言書を作成していたとします。
「自宅不動産を妻〇〇に相続させる。」
「預貯金〇〇万円を長男〇〇に相続させる。」
「妻の連れ子である養子〇〇に〇〇万円を相続させる。」
その後、妻と離婚し、妻の連れ子との養子縁組も解消したとします。
この場合、離婚や離縁と関係のない「長男に〇〇万円を相続させる」という部分は、原則としてそのまま有効です。
問題になるのは、元配偶者や離縁した元養子に財産を渡す部分です。
離婚すると、元配偶者は法律上の相続人ではなくなります。
そのため、遺言書がなければ、元配偶者は原則として相続財産を取得しません。
しかし、遺言書に「妻〇〇に遺贈する」「妻〇〇に取得させる」などと書かれている場合、離婚後でも、その記載が効力を持つかどうかが問題になります。
遺言書がそのまま有効と判断されれば、元配偶者が財産を取得する可能性があります。
特に、遺言書に氏名で特定されている場合、「配偶者という地位」ではなく「その人個人」に財産を渡す趣旨だったと解釈される余地があります。
遺言書で「妻に相続させる」と書いていた場合、離婚後は妻が相続人ではなくなります。
相続人ではない人に対して「相続させる」という文言がそのまま使えるのか、解釈上問題になります。
実務上は、遺言者の意思を踏まえて「遺贈」として扱えるかどうかが問題になることがあります。
しかし、文言が不明確だと相続人間で争いになりやすくなります。
離婚後も元配偶者に財産を残したいのであれば、「元妻〇〇に遺贈する」など、現在の関係に合わせて明確に書き直すべきです。
反対に、元配偶者に財産を残したくないのであれば、その部分を撤回する新しい遺言書を作成する必要があります。
民法では、遺言後の生前処分その他の法律行為が遺言の内容と抵触する場合、その抵触する部分について遺言を撤回したものとみなすと定められています。
たとえば、遺言書で「〇〇不動産を長男に相続させる」と書いた後、遺言者が生前にその〇〇不動産を売却した場合です。
この場合、売却という生前処分が遺言内容と抵触するため、〇〇不動産を長男に相続させる部分は撤回されたものと扱われます。
離婚についても、遺言書に配偶者へ財産を残す内容がある場合、その後の離婚が遺言内容と抵触すると判断される可能性があります。
ただし、離婚したからといって、元配偶者に財産を残す部分が必ず撤回されたとみなされるわけではありません。離婚後も、遺言者が元配偶者に財産を残したいと考えていた可能性もあります。
たとえば、次のような事情がある場合です。
離婚後も交流が続いていた
元配偶者が遺言者の生活を支えていた
離婚後も経済的支援をしたい事情があった
離婚時の合意で財産承継について話していた
遺言者が離婚後も遺言書を見直さず、元配偶者に渡す意思を示していた
遺言書に氏名で明確に元配偶者が特定されていた
このような事情があると、離婚していても、元配偶者へ財産を残す意思があったと判断される可能性があります。
離婚後の遺言書の効力は、遺言書の文言だけでなく、さまざまな事情から判断されることがあります。
たとえば、次のような事情です。
遺言書の作成時期
離婚の時期
離婚原因
離婚後の交流状況
遺言者と元配偶者の関係
財産を残す理由が記載されているか
付言事項の内容
離婚後に遺言書を保管し続けていた事情
他の相続人との関係
離縁や再婚の有無
そのため、離婚後も古い遺言書を放置していると、相続開始後に「元配偶者に渡す意思があったのか」をめぐって争いになる可能性があります。
配偶者の連れ子と養子縁組をしていた場合、離婚とあわせて養子縁組を解消することがあります。
この場合も、離縁したからといって、過去の遺言書全体が当然に無効になるわけではありません。
たとえば、遺言書に「養子〇〇に〇〇万円を相続させる」と書かれていた場合、離縁後はその人は相続人ではなくなります。
しかし、遺言書の文言や事情によっては、遺贈として効力を持つかどうかが問題になる可能性があります。
離縁後もその人に財産を残したいのであれば、新しい遺言書で「〇〇に遺贈する」と明確に書くべきです。
反対に、離縁後は財産を渡したくないのであれば、その部分を撤回する必要があります。
離縁した後も古い遺言書を放置していると、相続開始後に解釈をめぐって争いになる可能性があります。
遺言書は、一度作成したら変更できないものではありません。
遺言者は、生きている間であれば、いつでも遺言の全部または一部を撤回できます。
相続人や受遺者の同意は不要です。
離婚、再婚、離縁、養子縁組、相続人との関係悪化、財産内容の変更などがあった場合は、遺言書を見直すことができます。
遺言を撤回する場合は、遺言の方式に従って行う必要があります。
つまり、自筆証書遺言、公正証書遺言など、法律で認められた遺言方式で撤回する必要があります。
単に口頭で「前の遺言は取り消す」と言うだけでは、遺言の撤回としては不十分です。
確実に撤回したい場合は、新しい遺言書を作成する方法が安全です。
離婚後も古い遺言書を放置していると、元配偶者に財産が渡る可能性があります。
遺言者としては「離婚したのだから、当然元配偶者には渡らない」と思っていても、遺言書が残っている以上、その解釈が問題になります。
相続人が争うと、解決まで時間と費用がかかります。
元配偶者や離縁した元養子に財産を渡す内容が残っていると、現在の相続人との間で争いになる可能性があります。
特に、現在の配偶者、子ども、再婚相手、前婚の子どもなどがいる場合、家族関係が複雑になりやすいです。
古い遺言書を放置すると、相続開始後のトラブルの原因になります。
遺言者が亡くなった後は、本人に真意を確認できません。
離婚後も元配偶者に財産を渡したかったのか、それとも撤回するつもりだったのかは、残された資料や事情から判断するしかありません。
そのため、離婚後に遺言書を見直していないと、相続人間で解釈が分かれます。
遺言者の意思を確実に実現するためには、状況が変わった時点で新しい遺言書を作成することが重要です。
まず確認すべきなのは、元配偶者に財産を渡す内容が残っていないかです。
元配偶者に渡したくない場合は、その部分を撤回します。
反対に、離婚後も元配偶者に財産を残したい場合は、「元妻〇〇に遺贈する」など、現在の関係に合わせて明確に書き直しましょう。
離婚とあわせて養子縁組を解消した場合は、離縁した元養子への記載も確認します。
離縁後も財産を残したい場合は、遺贈として明確に記載します。
残したくない場合は、撤回します。
元配偶者を遺言執行者に指定している場合も注意が必要です。
離婚後も元配偶者に遺言執行を任せる意思があるのか、見直しましょう。
相続人間で不信感が生じる可能性がある場合は、別の人や専門家を遺言執行者に指定することを検討します。
遺言書とは別に、生命保険の受取人も確認しましょう。
離婚しても、保険契約上の受取人が自動的に変更されるとは限りません。
元配偶者が受取人のままになっていると、死亡保険金が元配偶者に支払われる可能性があります。
離婚後は、遺言書だけでなく、生命保険、年金、退職金、各種契約の受取人も見直しましょう。
離婚後は、財産内容や家族関係が変わっていることが多いです。
そのため、遺言書の一部だけでなく、財産全体を見直すことが重要です。
付言事項に元配偶者への感謝や家族関係に関する記載が残っている場合も、現在の状況に合っているか確認しましょう。
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