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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
公証役場に行かずに作成でき、費用も抑えられるため、利用しやすい遺言方式です。
しかし、自筆証書遺言には大きな注意点があります。
それは、作成した遺言書をどこに保管するかという問題です。
どれだけ内容の整った遺言書を作成しても、相続開始後に発見されなければ、遺言書の内容を実現することはできません。
また、保管方法を誤ると、遺言書の紛失、破棄、隠匿、改ざん、発見の遅れ、相続人間のトラブルにつながる可能性があります。
遺言者本人が自分で保管する場合、保管料はかかりません。
法務局や専門家、金融機関に依頼する場合と違い、費用を抑えられる点は大きなメリットです。
自筆証書遺言の手軽さを最も活かせる方法といえます。
遺言者本人が遺言書を手元で保管していれば、内容を変更したいときにすぐ見直すことができます。
新しい遺言書を作成したり、古い遺言書を破棄したりすることも比較的簡単です。
家族関係や財産内容が変わったときに、柔軟に対応しやすい方法です。
自宅で自分だけが保管している場合、遺言書の存在を他人に知られにくいです。
生前に相続人へ内容を知られたくない方にとっては、秘密性が高い方法です。
ただし、このメリットは大きなデメリットにもなります。
誰にも知られないまま保管していると、相続開始後に発見されない可能性があるからです。
遺言者本人が保管する最大の問題は、相続開始後に遺言書が発見されない可能性があることです。
遺言者が家族に保管場所を伝えていなければ、相続人が遺言書の存在に気づかないことがあります。
その場合、遺言書がないものとして遺産分割協議が進んでしまう可能性があります。
これは、遺言書を作成した意味がなくなってしまう大きなリスクです。
デメリット2. 紛失する可能性がある
自宅で保管していると、引っ越し、入院、施設入所、家の片付けなどのタイミングで遺言書が紛失することがあります。
また、遺言者本人が保管場所を忘れてしまうこともあります。
特に、高齢になってから作成した遺言書は、保管場所の管理に注意が必要です。
遺言書が自宅で見つかった場合、その内容によって不利益を受ける相続人が、遺言書を隠したり、破棄したりする可能性もあります。
もちろん、そのような行為は許されるものではありません。
しかし、遺言書が失われてしまえば、遺言者の意思を実現することが難しくなります。
貸金庫は、銀行が管理する安全性の高い保管場所です。
自宅で保管するよりも、遺言書を紛失する可能性は低いといえます。
遺言者本人がむやみに出し入れしなければ、遺言書を安全に保管しやすい方法です。
貸金庫に入れておけば、相続人が自宅で遺言書を発見して勝手に破棄するリスクを下げることができます。
内容を生前に知られたくない場合にも、一定の秘密性を保ちやすい方法です。
貸金庫を利用している銀行には、遺言者の口座があることが多いです。
そのため、相続開始後に相続人がその銀行で預金の相続手続きを行う過程で、貸金庫の存在が分かることがあります。
その意味では、自宅の分かりにくい場所に保管するよりは、発見される可能性があるともいえます。
貸金庫を利用するには、銀行に利用料を支払う必要があります。
遺言書だけを保管するために貸金庫を借りる場合、費用負担が大きく感じられることがあります。
すでに貸金庫を利用している方であれば追加負担は少ないかもしれませんが、遺言書の保管だけを目的に借りる場合は慎重に検討しましょう。
貸金庫保管の最大の問題は、相続開始後に中身を確認するまで時間がかかることです。
遺言者が亡くなった後、相続人がすぐに貸金庫を開けられるわけではありません。
通常、金融機関で相続手続きを行い、必要書類を準備し、開扉の手続きを進める必要があります。
そのため、遺言書が貸金庫の中にあると、相続の方針を決める前に貸金庫の手続きが必要になってしまいます。
相続人が貸金庫の存在に気づかず、先に遺産分割協議を進めてしまうことがあります。
その後、貸金庫から遺言書が見つかると、協議内容と遺言書の内容が食い違い、相続人間で混乱が生じる可能性があります。
貸金庫を利用する場合は、少なくとも貸金庫の存在を信頼できる人に伝えておくことが重要です。
専門家に依頼する場合、遺言書を作成する段階から内容を確認してもらえます。
そのため、日付や署名押印などの形式面だけでなく、不動産の記載方法、預貯金の特定、遺留分、遺言執行者の指定なども整理しやすくなります。
自筆証書遺言の不備によるトラブルを減らしやすい点がメリットです。
専門家に遺言書の作成や保管を依頼する場合、その専門家を遺言執行者として指定することもあります。
遺言執行者がいれば、相続開始後に預貯金の解約、不動産の手続き、受遺者への財産引渡しなどを進めやすくなります。
特に、相続人間で対立が予想される場合や、相続人以外への遺贈がある場合は、専門家を遺言執行者にするメリットがあります。
遺言書を専門家に預けておけば、相続開始後に相続人や受遺者が相談しやすくなります。
専門家が遺言書の存在を把握していれば、手続きの流れを案内しやすくなります。
ただし、専門家が遺言者の死亡を自動的に知るわけではないため、相続人や遺言執行者候補者に専門家の連絡先を伝えておくことが大切です。
専門家に保管や作成サポートを依頼する場合、報酬が発生します。
保管だけでなく、遺言書作成、相談、遺言執行者への就任などを依頼する場合は、それなりの費用がかかることがあります。
費用をできるだけ抑えたい方には、負担に感じられる場合があります。
専門家に保管を依頼している場合、遺言書を変更したいときには再度相談や手続きが必要になることがあります。
もちろん、新しい遺言書を作成すれば内容を変更できます。
しかし、古い遺言書との関係を整理しないと、相続開始後に混乱する可能性があります。
遺言書を変更する際も、専門家と相談しながら進めることが望ましいです。
親族が遺言書を保管していれば、相続開始後に遺言書が見つからないリスクは比較的低くなります。
特に、遺言者の死亡をすぐに把握できる近い親族が保管している場合は、相続手続きに入りやすくなります。
遺言書を預かっている親族が、遺言者から遺言作成の理由や想いを聞いている場合があります。
その場合、相続開始後に他の相続人へ遺言者の考えを説明しやすくなることがあります。
ただし、これは親族間の関係が良好な場合に限られます。
親族に預ける場合、通常は保管費用がかかりません。
費用を抑えつつ、本人保管よりも発見されやすくしたい場合には選択肢になります。
親族に保管してもらう方法は、預ける相手を間違えると大きなトラブルになります。
遺言書の内容が、保管している親族にとって不利な場合、その親族が遺言書を隠したり、破棄したりするリスクがあります。
また、自分に有利になるように書き換えようとする可能性も否定できません。
遺言書を親族に預ける場合は、相手を慎重に選ぶ必要があります。
特定の親族だけが遺言書を保管していると、他の相続人から不信感を持たれることがあります。
「自分に有利な遺言書を持っていたのではないか」
「内容を隠していたのではないか」
このような疑いが生じると、かえって相続トラブルの原因になります。
遺言書を預けた親族が、遺言者より先に亡くなる可能性もあります。
その場合、遺言書の所在が分からなくなることがあります。
親族に預ける場合は、保管者が亡くなった場合や連絡が取れなくなった場合の対応も考えておく必要があります。
法務局で保管されるため、自宅保管や親族保管と比べて、紛失や改ざんのリスクを大きく減らせます。
相続人の一部にとって不利な内容であっても、勝手に破棄されたり隠されたりする心配がありません。
自筆証書遺言の保管方法としては、安全性の高い方法です。
法務局で保管された自筆証書遺言については、相続開始後の家庭裁判所の検認が不要です。
通常の自筆証書遺言では検認手続きが必要になりますが、保管制度を利用している場合は、遺言書情報証明書を取得して相続手続きを進めることができます。
検認の手間を省ける点は、大きなメリットです。
法務局保管制度では、関係遺言書保管通知や死亡時通知といった通知制度があります。
死亡時通知を利用すれば、遺言者が死亡した後、あらかじめ指定した人に遺言書が保管されていることが通知されます。
これにより、遺言書が発見されないリスクを減らせます。
法務局では、遺言書の内容について相談することはできません。たとえば、次のような相談には対応してもらえません。
誰にどの財産を残せばよいか
遺留分に問題がないか
不動産の書き方が正しいか
遺言執行者を指定すべきか
相続人以外へ遺贈する文言が適切か
法務局はあくまで保管制度の窓口です。遺言内容に不安がある場合は、保管申請の前に専門家へ相談しましょう。
法務局に保管されたからといって、遺言書の内容が必ず有効になるわけではありません。
形式面が整っていても、財産の特定が不十分だったり、相続手続きで使いにくい文言になっていたりすることがあります。
法務局保管制度は、保管と外形的確認の制度であり、遺言内容の法律的な有効性まで保証する制度ではありません。
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