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エンディングノートの書き方

近年、終活の一環として「エンディングノート」を作成する方が増えています。

相続開始後に家族が困らないように、これまでは遺言書を作成することが一般的でした。しかし、遺言書だけでは、医療や介護の希望、葬儀の希望、保険や年金の情報、スマートフォンやインターネットサービスの情報、家族への想いなどを十分に伝えきれないことがあります。

そこで活用されているのが、エンディングノートです。エンディングノートを書いておくことで、残された家族は、本人の希望や大切な情報を確認しながら、葬儀、死後事務、財産調査、各種解約手続きなどを進めやすくなります。

また、エンディングノートには、遺言書には書きにくい自分の生い立ち、家族への感謝、葬儀やお墓に関する希望、医療・介護に関する考えなどを自由に書くことができます。

ただし、エンディングノートには、原則として遺言書のような法的効力はありません。相続財産を誰に承継させるかを法的に決めたい場合は、エンディングノートではなく、民法の方式に従った遺言書を作成する必要があります。

ご家族間での話し合い、情報共有は重要

エンディングノートとは

家族に伝えたい情報や想いをまとめるノート

エンディングノートとは、自分に万が一のことがあったときに備えて、家族や大切な人へ伝えたい情報をまとめておくノートです。

書く内容に法律上の決まりはありません。自分の基本情報、財産情報、医療・介護の希望、葬儀やお墓の希望、連絡してほしい人、家族へのメッセージなど、自由に記載できます。

エンディングノートは、亡くなった後だけでなく、病気や認知症などで自分の意思を伝えにくくなったときにも役立つことがあります。

たとえば、家族が医療機関や介護施設と話し合うとき、本人の希望が書かれていれば、判断の参考になります。

遺言書よりも自由に書ける

遺言書は、法律で方式が定められており、主に財産の承継や身分関係など、法的効力を持たせる内容を書くための書類です。

一方、エンディングノートには、決まった方式や書式はありません。市販のノートを使ってもよいですし、パソコンで作成しても、スマートフォンのメモアプリで管理しても構いません。

ただし、自由に書ける反面、エンディングノートだけでは、相続人に法的な義務を負わせることは原則としてできません。つまり、エンディングノートに「自宅は長男に渡したい」「預金は長女に渡したい」と書いても、それだけで法的に財産の承継先が決まるわけではありません。

エンディングノートと遺言書の違い

法的効力の有無が大きな違い

エンディングノートと遺言書の大きな違いは、法的効力の有無です。

遺言書は、法律上の方式を満たしていれば、相続財産の承継先を決める法的効力を持ちます。一方、エンディングノートには、原則として法的効力はありません。

そのため、エンディングノートに相続財産の分け方を書いても、相続人がその内容に当然に拘束されるわけではありません。財産の分け方を確実に実現したい場合は、遺言書を作成する必要があります。

書ける内容の違い

エンディングノートには、遺言書よりも幅広い内容を書くことができます。たとえば、次のような内容です。

自分の生い立ち

家族への感謝

医療や介護の希望

葬儀やお墓の希望

友人や知人への連絡先

思い出の品の扱い

家族に伝えたい言葉

遺言書にも付言事項として想いを書くことはできます。

しかし、遺言書は法的な文書であるため、財産の分け方や法定遺言事項を中心に作成することが一般的です。気持ちや生活情報を詳しく書きたい場合は、エンディングノートの方が向いています。

エンディングノートと遺言書は併用がおすすめ

エンディングノートと遺言書は、どちらか一方だけを選ぶものではありません。それぞれ役割が違うため、併用することをおすすめします。

たとえば、次のように使い分けます。

財産の承継先を決める:遺言書

財産情報の一覧を整理する:エンディングノート

家族への想いを書く:エンディングノート

葬儀やお墓の希望を書く:エンディングノート

遺言内容の理由を補足する:エンディングノート

医療や介護の希望を書く:エンディングノート

遺言書で法的な内容を定め、エンディングノートで想いや実務情報を補うことで、残された家族の負担を減らしやすくなります。

エンディングノートに書くべき内容

自分の基本情報

まず、自分自身の基本情報を書いておきます。たとえば、次のような内容です。

氏名

生年月日

本籍

現住所

電話番号

健康保険証の情報

運転免許証の有無

パスポートの有無

緊急連絡先

基本情報をまとめておくことで、家族が役所や金融機関、保険会社などの手続きを進めやすくなります。

自分史・生い立ち

エンディングノートには、自分の生い立ちや人生の歩みを書くこともできます。たとえば、次のような内容です。

生まれた場所

学校生活

仕事の思い出

結婚や子育てのこと

人生で印象に残っている出来事

家族に伝えたい思い出

家族とはいえ、親や祖父母の人生を詳しく知らないこともあります。エンディングノートに自分史を書いておくことで、残された家族が本人の人生や想いを知るきっかけになります。

財産に関する情報

財産情報は、エンディングノートの中でも特に重要です。相続開始後、家族が最初に困ることの一つが、どこにどのような財産があるか分からないことです。次のような情報を整理しておきましょう。

預貯金口座

不動産

株式

自動車

貴金属

クレジットカード

ローン

ただし、エンディングノートに財産情報を書く場合、口座番号や暗証番号などの取り扱いには注意が必要です。特に、暗証番号やパスワードをそのまま書くと、紛失や盗難時に悪用されるおそれがあります。

年金・保険に関する情報

年金や保険の情報も、家族にとって重要です。次のような内容を書いておくとよいでしょう。

年金手帳や基礎年金番号の情報

年金関係書類の保管場所

生命保険会社名

保険証券番号

医療保険

がん保険

火災保険

自動車保険

介護保険関係

受取人

保険証券の保管場所

保険金請求は、家族が保険の存在を知らなければ手続きできないことがあります。保険会社名や証券の保管場所だけでも記載しておくと、家族の負担が軽くなります。

医療・介護に関する希望

エンディングノートには、病気や介護が必要になった場合の希望を書いておくこともできます。たとえば、次のような内容です。

持病

服用している薬

アレルギー

かかりつけ医

入院歴

介護が必要になった場合の希望

施設入所についての考え

延命治療についての考え

認知症になった場合の希望

連絡してほしい医療機関や親族

医療や介護の場面では、家族が難しい判断を迫られることがあります。本人の希望が書かれていれば、家族が迷ったときの参考になります。ただし、医療行為に関する希望は、必ずしも医療機関を法的に拘束するものではありません。

葬儀・お墓に関する希望

葬儀やお墓に関する希望も、エンディングノートに書いておくと家族が助かります。たとえば、次のような内容です。

葬儀をするかどうか

葬儀の規模

宗教・宗派

菩提寺

喪主を誰にしてほしいか

遺影に使ってほしい写真

棺に入れてほしいもの

連絡してほしい人

お墓の場所

納骨の希望

散骨や樹木葬への希望

葬儀は、亡くなってから短期間で決めることが多いです。本人の希望が分からないと、家族が大きな負担を感じることがあります。

連絡してほしい人

亡くなったときや入院したときに、誰へ連絡してほしいかを書いておきます。たとえば、次のような情報です。

親族

友人

勤務先

近所の人

趣味の仲間

取引先

お世話になった人

所属団体

名前だけでなく、電話番号、住所、メールアドレス、関係性も書いておくと分かりやすいです。家族が知らない交友関係もあるため、連絡先リストは非常に役立ちます。

エンディングノートの書き方のポイント

完璧を目指さず書けるところから始める

エンディングノートは、最初からすべてを埋める必要はありません。完璧に書こうとすると、かえって手が止まってしまいます。まずは、次のような書きやすい項目から始めるとよいでしょう。

緊急連絡先

葬儀の希望

家族へのメッセージ

少しずつ書き足していくことで、自分らしいノートになります。

財産情報はできるだけ具体的に書く

財産情報は、家族が相続手続きを進めるうえで重要です。

ただし、エンディングノートは遺言書ではありません。財産の分け方を法的に決めるのではなく、財産調査の手がかりとして書く意識が大切です。

たとえば、金融機関名、支店名、保険会社名、不動産の所在地、証券会社名などを書いておくと、家族が調査しやすくなります。

暗証番号やパスワードの管理に注意する

エンディングノートに暗証番号やパスワードをそのまま書くと、紛失や盗難の際に悪用される可能性があります。

特に、銀行口座、クレジットカード、ネット証券、スマートフォンのロック解除情報などは慎重に扱う必要があります。

パスワード管理については、別紙にして厳重に保管する、信頼できる人に保管場所だけ伝える、専門のパスワード管理サービスを利用するなどの方法を検討しましょう。

定期的に見直す

エンディングノートは、一度書いたら終わりではありません。財産、保険、連絡先、医療、介護、家族関係は時間とともに変わります。次のようなタイミングで見直すことをおすすめします。

引っ越しをしたとき

口座を開設・解約したとき

保険を見直したとき

家族構成が変わったとき

病気が分かったとき

遺言書を作成・変更したとき

年に1回の定期確認

古い情報のままだと、家族がかえって混乱することがあります。

家族に存在を伝えておく

エンディングノートを書いても、家族がその存在を知らなければ意味がありません。

保管場所や存在を、信頼できる家族や専門家に伝えておきましょう。ただし、財産情報や個人情報が多く含まれるため、誰に見せるかは慎重に判断する必要があります。

エンディングノートを書くときの注意点

法的効力がないことを理解する

エンディングノートは、原則として法的効力を持ちません。

財産の分け方、相続人の指定、遺贈、遺言執行者の指定などを法的に実現したい場合は、遺言書を作成する必要があります。

エンディングノートに「この財産は長男へ」と書いただけでは、相続人を法的に拘束できない可能性があります。

遺言書と矛盾しないようにする

エンディングノートと遺言書の内容が矛盾していると、相続人が混乱することがあります。

たとえば、遺言書では自宅を長男に相続させると書いているのに、エンディングノートでは自宅を長女に渡したいと書いている場合です。

法的には遺言書が重視されますが、家族間の不信感や争いの原因になることがあります。エンディングノートを書くときは、遺言書の内容と矛盾しないように注意しましょう。

個人情報の管理に注意する

エンディングノートには、財産、医療、保険、連絡先、デジタル情報など、多くの個人情報が含まれます。

保管場所を慎重に選び、必要以上に多くの人が自由に見られる状態にしないようにしましょう。

家族に押し付ける内容にしない

エンディングノートは、家族へのお願いや希望を伝えるためのものです。

しかし、法的効力がない事項について、家族に過度な負担を押し付ける内容にならないよう注意しましょう。

特に、葬儀費用、墓の管理、ペットの世話、親族への連絡などは、実際に対応する家族の負担も考えて書くことが大切です。

遺言書の代わりにしない

エンディングノートは便利ですが、遺言書の代わりにはなりません。相続財産の分け方を確実に決めたい場合は、必ず遺言書を作成しましょう。

特に、不動産がある方、子どもがいない夫婦、再婚している方、相続人以外の人に財産を残したい方は、エンディングノートだけでは不十分です。

まとめ

エンディングノートとは、自分に万が一のことがあったときに備えて、家族や大切な人へ伝えたい情報や想いをまとめるノートです。

基本情報、財産、年金、保険、医療、介護、葬儀、お墓、デジタル情報、ペット、家族へのメッセージなど、自由に書くことができます。

エンディングノートを書いておくことで、残された家族は、本人の希望や必要な情報を確認しながら、葬儀、死後事務、財産調査、相続手続きなどを進めやすくなります。

一方で、エンディングノートには原則として法的効力がありません。相続財産を誰に承継させるかを確実に決めたい場合は、エンディングノートではなく、民法の方式に従った遺言書を作成する必要があります。

この記事の監修者

行政書士法人クローバー法務事務所代表行政書士 大山悠太

監修者

行政書士法人クローバー法務事務所

代表行政書士

大山悠太

経歴

プロフィール
【経歴】
 
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
 
2017年11月:行政書士試験合格
 
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
 
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
 
【保有資格】
 
TOEIC745
 
宅地建物取引士
 
行政書士(申請取次)
 
ビジネス実務法務検定2級
 
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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