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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
遺言書には、不動産、預貯金、証券口座などの財産内容や、財産を受け取る相続人・受遺者の情報を書くことがあります。
自筆証書遺言であれば、遺言者本人だけで作成できます。
公正証書遺言であっても、公証人や証人には知られますが、家族に伝えずに作成することはできます。
ただし、家族に知られずに遺言書を作成する場合には、大きな注意点があります。
それは、相続開始後に遺言書が発見されないリスクです。
遺言書は、遺言者が亡くなった後に発見され、内容に従って手続きされて初めて意味があります。
家族に知られないことを重視しすぎると、せっかく作成した遺言書が発見されず、遺産分割協議が進められてしまう可能性があります。
遺言書は、遺言者本人の自由な意思で作成するものです。
本来であれば、家族や親族から干渉されるべきものではありません。
しかし、実際には、親の遺産について子どもが強い関心を持っていることがあります。
「親の財産は子どもが相続するものだ」と考える方もいます。
そのため、遺言書を作成することを家族に伝えると、内容について意見を言われたり、変更を求められたりすることがあります。
自分の意思で遺言書を作成したい方にとって、これは大きな負担になります。
遺言書を作成する理由として、特定の相続人に多く財産を残したいというものがあります。
たとえば、次のようなケースです。
同居して介護してくれた子どもに多く残したい
障がいのある子どもの生活を守りたい
事業を継ぐ子どもに会社株式を集中させたい
このような内容は、他の相続人から不満を持たれる可能性があります。
そのため、生前は家族に知られずに遺言書を作成したいと考える方がいます。
遺言書では、相続人以外の人や団体に財産を遺贈することもできます。
たとえば、内縁の配偶者、友人、お世話になった人、福祉団体、学校、寺院、慈善団体などです。
しかし、家族以外に財産を残すことを生前に伝えると、家族から反対される可能性があります。
そのため、家族に知られずに遺言書を作成したいと考える方もいます。
自筆証書遺言は、遺言者本人が全文、日付、氏名を自書し、押印して作成する遺言書です。
公証人や証人の立会いは不要です。
そのため、家族だけでなく、誰にも知られずに作成することが可能です。
ただし、自筆証書遺言は、方式不備や内容不明確によって無効になるリスクがあります。
また、自宅で保管している場合、家族に見つかって中身を見られたり、反対に死亡後に発見されなかったりするリスクがあります。
公正証書遺言は、公証役場で公証人が関与して作成する遺言書です。
作成には証人2人以上の立会いが必要です。
そのため、公証人と証人には遺言書の内容を知られます。
しかし、家族を証人にする必要はありません。
相続人や受遺者などは証人になれないため、通常は家族以外の第三者を証人にします。
公証役場が、遺言者の家族に対して「遺言書を作成しました」と連絡することは通常ありません。
そのため、公正証書遺言であっても、家族に知らせずに作成することは可能です。
家族に遺言書の存在を知らせない場合、最も大きな問題は、相続開始後に遺言書が発見されないことです。
遺言書が発見されなければ、相続人は遺言書がないものとして遺産分割協議を進めてしまう可能性があります。
遺言書を作成しても、死亡後に発見されなければ、遺言者の意思は実現されません。
家族に知られずに作成する場合は、相続開始後にどのように遺言書の存在を知らせるかまで設計しておく必要があります。
自宅で遺言書を保管している場合、家族に見つかってしまうことがあります。
封筒に入れて封をしていたとしても、「中身を見せてほしい」と言われたり、無断で開封されたりする可能性もあります。
家族に知られずに作成したい場合、自宅保管は慎重に考える必要があります。
絶対に見つからない場所に保管すれば、生前に家族に見られるリスクは減ります。
しかし、隠しすぎると、死亡後にも誰にも見つけてもらえない可能性があります。
たとえば、貸金庫、特殊な金庫、分かりにくい場所、親族が知らない保管先などにしまっている場合です。
遺言書は、隠すことと発見してもらうことのバランスが重要です。
自筆証書遺言を自宅で保管する場合、家族に知られずに済む可能性があります。しかし、自宅保管には次のようなリスクがあります。
家族に生前見つかる
死亡後に発見されない
破棄・隠匿・改ざんされる
家庭裁判所の検認が必要になる
家族に知られずに作成したい場合でも、自宅保管は慎重に判断すべきです。
家族に知られずに自筆証書遺言を作成したい場合、有力な方法が、法務局の自筆証書遺言書保管制度です。
この制度を利用すると、自筆証書遺言の原本を法務局で保管してもらえます。
手元に遺言書の原本を置かなくてよいため、家族に遺言書を見られるリスクを減らせます。
また、法務局で保管された自筆証書遺言は、相続開始後の家庭裁判所の検認が不要です。
さらに、遺言書の紛失、破棄、隠匿、改ざんを防ぎやすいというメリットがあります。
法務局の自筆証書遺言書保管制度では、死亡時通知を利用できます。
死亡時通知とは、遺言者が死亡したことを法務局が確認した場合に、あらかじめ指定された人へ、遺言書が保管されていることを通知する制度です。
家族に遺言書の存在を生前に知らせたくない場合でも、死亡時通知を利用しておけば、相続開始後に指定した人へ遺言書の存在を知らせることができます。
つまり、生前は家族に知られにくく、死亡後は発見されやすくする仕組みを作ることができます。
法務局の保管制度には、関係遺言書保管通知という仕組みもあります。
これは、相続人等の一人が遺言書の閲覧をしたり、遺言書情報証明書の交付を受けたりした場合に、他の関係相続人等へ遺言書が保管されていることを知らせる通知です。
ただし、関係遺言書保管通知は、誰かが閲覧や証明書請求をした後に行われる通知です。
死亡時通知とは役割が異なります。
家族に知られずに遺言書を作成したい場合は、死亡時通知を利用するかどうかを事前に検討しましょう。
公正証書遺言を作成すると、原本は公証役場で保管されます。
そのため、自宅で原本を保管する必要はありません。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成するため、方式不備のリスクが少なく、相続開始後の検認も不要です。
公正証書遺言では、遺言者に正本や謄本が交付されます。
正本や謄本には、遺言書の内容が記載されています。
そのため、これらを自宅に保管していると、家族に見られる可能性があります。
家族に知られたくない場合は、正本や謄本の保管方法を慎重に考える必要があります。
公正証書遺言を家族に知られずに作成したい場合、行政書士、司法書士、弁護士などの専門家を遺言執行者に指定し、正本や謄本を預ける方法があります。
専門家に預けておけば、自宅に遺言書の写しを置かずに済みます。
また、相続開始後に遺言執行者が遺言内容に従って手続きを進めることができます。
家族に遺言書の内容を見られたくない場合や、相続人間で争いが予想される場合には、有効な方法です。
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大山悠太
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