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遺言者死亡後の遺言執行の流れ

遺言書を作成している方が亡くなった場合、相続手続きは遺言書の内容を確認しながら進めることになります。

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決めるのが一般的です。

一方、遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容に従って、預貯金の解約、不動産の名義変更、株式や保険の手続きなどを進めます。

ただし、遺言書があるからといって、すぐにすべての相続手続きが完了するわけではありません。

遺言書の種類によっては、家庭裁判所で検認手続きが必要になります。

また、遺言書に遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者が相続財産の調査、財産目録の作成、預貯金の解約、不動産の手続き、受遺者への財産引渡しなどを進めることになります。

ご家族間での話し合い、情報共有は重要

遺言書がある場合とない場合の違い

遺言書がない場合

遺言書がない場合、相続財産は法定相続分に従って相続するか、相続人全員で遺産分割協議を行って分け方を決めます。

遺産分割協議をする場合は、相続人全員の合意が必要です。

相続人のうち一人でも協議に参加しない場合や、内容に同意しない場合は、遺産分割協議は成立しません。

そのため、相続人同士の関係が悪い場合や、相続財産に不動産がある場合、相続人の人数が多い場合などは、協議が長期化することがあります。

遺言書がある場合

遺言書がある場合は、まず遺言書の内容を確認します。

遺言書で財産の承継先が明確に定められている場合は、原則としてその内容に従って相続手続きを進めます。たとえば、次のような内容です。

自宅不動産を長男に相続させる

預貯金を配偶者に相続させる

特定の金融資産を長女に相続させる

相続人以外の人に遺贈する

遺言執行者を指定する

遺言書があれば、相続人全員で遺産分割協議をしなくても手続きを進められる場合があります。

ただし、遺言書の内容が不明確な場合や、一部の財産しか記載されていない場合、遺留分侵害額請求が問題になる場合などは、別途対応が必要になることがあります。

遺言者死亡後の基本的な流れ

遺言書の有無を確認する

遺言者が亡くなった後、まず確認すべきことは、遺言書があるかどうかです。遺言書の種類によって、探す場所や確認方法が異なります。たとえば、次のような確認先があります。

自宅の金庫や机

貸金庫

親族や信頼していた人の保管場所

行政書士・司法書士・弁護士などの専門家

公証役場

法務局の自筆証書遺言書保管制度

公正証書遺言の場合、公証役場で検索できることがあります。法務局に保管された自筆証書遺言の場合は、相続人等が遺言書保管事実証明書や遺言書情報証明書を請求して確認することができます。

遺言書の種類を確認する

遺言書が見つかったら、次に遺言書の種類を確認します。主な遺言書は次のとおりです。

公正証書遺言

自筆証書遺言

法務局保管の自筆証書遺言

秘密証書遺言

公正証書遺言であれば、家庭裁判所の検認は不要です。法務局に保管された自筆証書遺言についても、遺言書情報証明書を取得することで、家庭裁判所の検認は不要になります。

一方、自宅などで保管されていた自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所で検認手続きが必要です。

検認が必要な場合は家庭裁判所へ申し立てる

自宅などで自筆証書遺言が見つかった場合は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認を申し立てます。

検認は、相続人に遺言書の存在を知らせ、遺言書の状態を確認するための手続きです。検認を受けたからといって、その遺言書が必ず有効になるわけではありません。家庭裁判所が遺言内容の有効・無効を判断する手続きではないためです。

しかし、検認が必要な遺言書について検認を受けずに相続手続きを進めることはできません。また、封印のある遺言書を家庭裁判所以外で勝手に開封してはいけません。

相続人を調査する

遺言書がある場合でも、相続人の調査は必要です。遺言執行者がいる場合は、相続人に対して遺言執行者に就任したことや遺言内容を通知する必要があります。

また、遺留分権利者の確認や、財産目録の送付先を確認するためにも、相続人調査が必要になります。

一般的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人の現在戸籍などを収集します。

相続財産を調査する

次に、相続財産を調査します。主な財産は次のとおりです。

預貯金

不動産

株式

投資信託

生命保険

自動車

貴金属

事業用財産

借入金

未払金

税金や社会保険料

遺言書に記載されている財産だけでなく、記載漏れの財産がないかも確認します。遺言書に記載されていない財産がある場合、その財産については遺産分割協議が必要になることがあります。

遺言執行者の有無を確認する

遺言書に遺言執行者が指定されているか確認します。

遺言執行者が指定されている場合、その人が就任するかどうかを確認し、就任後に遺言執行の手続きを進めます。

遺言執行者が指定されていない場合は、相続人や受遺者が手続きを行うことになります。

ただし、遺言の内容に認知や相続人の廃除などが含まれる場合は、遺言執行者が必要になります。

遺言執行者がいない場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることがあります。

財産目録を作成する

遺言執行者が就任した場合、相続財産を調査し、財産目録を作成します。

財産目録には、預貯金、不動産、株式、債務などを記載します。

作成した財産目録は、相続人に交付する必要があります。

財産目録を作成することで、相続財産の全体像を相続人に示し、遺言執行の透明性を確保できます。

遺言の内容に従って財産を移転する

相続人と財産の調査が終わったら、遺言書の内容に従って財産を移転します。たとえば、次のような手続きです。

預貯金の解約・払戻し

不動産の相続登記

株式や投資信託の名義変更

自動車の名義変更

生命保険の請求

遺贈を受ける人への財産引渡し

換価処分

債務の確認

遺言執行者がいる場合は、遺言執行者が中心となって手続きを進めます。

遺言執行の完了報告を行う

すべての遺言執行手続きが終わったら、遺言執行者は相続人や受遺者に対して、手続きが完了したことを報告します。

どの財産をどのように処理したのか、どの財産を誰に引き渡したのか、費用がどのくらいかかったのかを整理して報告します。

完了報告を行うことで、遺言執行の手続きが明確になり、後日のトラブルを防ぎやすくなります。

遺言書の種類ごとの手続き

公正証書遺言の場合

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成した遺言書です。

公正証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要です。

そのため、相続開始後は、公正証書遺言の正本または謄本を使用して、預貯金の解約、不動産の相続登記、株式の名義変更などを進めることができます。

公正証書遺言がある場合は、比較的スムーズに相続手続きを進めやすいといえます。

自宅保管の自筆証書遺言の場合

自宅などで保管されていた自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所で検認手続きが必要です。

封印されている場合は、家庭裁判所以外で開封してはいけません。

検認後に、検認済証明書付きの遺言書を使用して、相続手続きを進めます。

ただし、検認を受けたからといって遺言書の有効性が確定するわけではありません。

遺言書の形式や内容について争いがある場合は、別途対応が必要になることがあります。

法務局保管の自筆証書遺言の場合

法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合、相続人等は、遺言者の死亡後に遺言書情報証明書の交付を請求できます。

この遺言書情報証明書は、遺言書の原本の代わりとして、各種相続手続きに使用することが想定されています。

法務局保管の自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要です。

そのため、自宅保管の自筆証書遺言よりも、相続開始後の手続きが進めやすい場合があります。

まとめ

遺言者が亡くなった後、遺言書が存在する場合は、原則として遺言書の内容に従って相続手続きを進めます。

ただし、遺言書の種類によって最初に必要な手続きが異なります。公正証書遺言は家庭裁判所の検認が不要です。法務局に保管された自筆証書遺言も、遺言書情報証明書を取得することで検認が不要になります。

一方、自宅などで保管されていた自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所で検認手続きが必要です。

遺言書に遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者が就任し、相続人調査、財産調査、財産目録の作成、預貯金の解約、不動産手続き、受遺者への財産引渡しなどを進めます。

この記事の監修者

行政書士法人クローバー法務事務所代表行政書士 大山悠太

監修者

行政書士法人クローバー法務事務所

代表行政書士

大山悠太

経歴

プロフィール
【経歴】
 
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
 
2017年11月:行政書士試験合格
 
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
 
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
 
【保有資格】
 
TOEIC745
 
宅地建物取引士
 
行政書士(申請取次)
 
ビジネス実務法務検定2級
 
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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