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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
不動産であれば所在地や家屋番号を記載する方法が比較的イメージしやすいですが、株式や投資信託などは、銘柄、数量、証券会社、口座区分、評価額が変動するため、遺言書にどこまで細かく書くべきか判断が難しい財産です。
遺言書には法律上の形式要件がありますが、財産の書き方そのものが一律に決まっているわけではありません。そのため、金融資産の内容や、誰にどのように引き継がせたいのかに応じて、適切な文言を選ぶ必要があります。
遺言書で金融資産を相続させる場合、まずは「何を」「誰に」「どのような形で」相続させるのかを明確にすることが大切です。
金融資産と一口にいっても、実際にはさまざまな種類があります。
たとえば、次のようなものです。
上場株式
非上場株式
投資信託
国債・社債などの債券
ETF・REIT
証券口座内の預り金
MRF
外貨建て資産
証券会社に対するその他の権利
銀行預金
現金
これらをまとめて「金融資産」と書くこともありますが、遺言書では、その言葉がどの範囲を指しているのかが問題になることがあります。
特に、現金を含めるのか、預貯金を含めるのか、証券会社の口座内の資産だけを指すのかは、できるだけ明確にしておく必要があります。
株式や投資信託などの金融資産は、相続開始時までに価値や数量が変動します。
遺言書を書いた時点ではA社株式を1,000株持っていても、相続開始時には売却済みになっているかもしれません。反対に、新たな銘柄を購入している可能性もあります。
また、株式分割、併合、投資信託の買付・解約、NISA口座での運用、証券会社の変更などにより、遺言書作成時の情報と相続開始時の状況が変わることもあります。
そのため、金融資産を遺言書に記載する場合は、細かく書きすぎることで、かえって記載漏れや解釈の問題が生じないよう注意が必要です。
金融資産について遺言書がない場合、相続開始後、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
株式や投資信託は値動きがあるため、遺産分割協議が長引くと、評価額が変動し、相続人間で不公平感が生じることがあります。
また、相続人の一人が「株式のまま取得したい」と考え、別の相続人が「売却して現金で分けたい」と考える場合もあります。
このようなトラブルを避けるためにも、金融資産を多くお持ちの方は、遺言書で承継方法を明確にしておくことが重要です。
近年は、NISA口座で株式や投資信託を保有している方も増えています。
NISA口座内の株式や投資信託も、相続財産として遺言書で承継先を指定することができます。
ただし、NISA口座そのものの非課税枠や制度上の取扱いまで、そのまま相続人に引き継がれるわけではありません。相続開始後は、証券会社の手続に従い、相続人名義の口座へ移管するなどの対応が必要になります。
そのため、NISA口座内の資産がある場合も、
「〇〇証券株式会社に対して有するNISA口座内の株式、投資信託その他一切の権利」
のように、必要に応じて対象を明確にしておくとよいでしょう。
実際の手続は証券会社ごとに異なるため、遺言書作成時には、証券口座の内容や保有資産を確認しておくことが大切です。
相続開始後、ご家族が「どこの証券会社に口座があるのか分からない」という状況になることがあります。
ただし、相続開始後に調査するとなると、時間も手間もかかります。
そのため、生前のうちに証券会社名、支店名、口座番号、保有資産の概要を財産目録として整理しておくと、ご家族の負担を減らすことができます。
自筆証書遺言では、財産目録についてはパソコンで作成したものや通帳・証券口座資料のコピーを添付する方法もあります。ただし、財産目録には署名押印が必要です。
株式・有価証券などの金融資産を含む遺言書は、公正証書遺言で作成することをおすすめします。
金融資産の遺言では、証券口座、銘柄、換価方法、分配割合、残余財産、遺言執行者など、複数の要素を正確に整理する必要があります。
自筆証書遺言でも作成は可能ですが、文言が曖昧だと、相続開始後に証券会社での手続や相続人間の解釈に支障が出る可能性があります。
また、公正証書遺言は家庭裁判所での検認が不要で、原本が公証役場に保管されるというメリットがあります。
金融資産の内容が多い方、複数の相続人に分けたい方、換価して分配したい方は、公正証書遺言での作成を検討するとよいでしょう。
自筆証書遺言で金融資産について記載する場合には、形式不備に注意が必要です。
自筆証書遺言は、本文、日付、氏名を自書し、押印する必要があります。財産目録についてはパソコン作成や資料のコピー添付が可能ですが、各ページに署名押印が必要です。
また、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、遺言書の紛失や改ざんを防ぎやすくなり、家庭裁判所の検認も不要になります。
そのため、金融資産の内容が複雑な場合や、相続人間のトラブルが心配な場合には、自筆証書遺言だけで済ませず、専門家に文案を確認してもらうことが大切です。
「金融資産」とだけ書くと、現金や預貯金まで含むのか、証券口座内の資産だけを指すのかが曖昧になることがあります。
現金、預貯金、株式、投資信託、債券、証券口座内の預り金など、含めたい財産をできるだけ明確に記載しましょう。
銘柄名や数量を細かく指定すると、相続開始時に保有状況が変わっていた場合に、遺言書の内容と一致しなくなることがあります。
特定銘柄を必ず渡したい場合を除き、証券会社ごと、口座ごと、または金融資産全体として指定する方法も検討しましょう。
株式や投資信託を売却して現金で分けるのか、そのまま相続人に取得させるのかを明確にします。
この点が曖昧だと、相続人間で「売るべきか」「持ち続けるべきか」をめぐって争いになる可能性があります。
複数の証券会社や金融機関を利用している場合、すべての口座を正確に書き出すのは意外と難しいものです。
「その他一切の金融資産」や「その他一切の財産」の帰属を決めておくことで、記載漏れによる遺産分割協議を避けやすくなります。
金融資産を特定の相続人に集中させる場合、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があります。
遺留分を侵害する遺言書でも、遺言書自体が当然に無効になるわけではありません。しかし、遺留分を侵害された相続人から、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
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大山悠太
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