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たとえば、遺言書を作成した時点では自宅不動産を長男に相続させる予定だったものの、その後、施設入所費用や生活費のために自宅を売却することがあります。
また、特定の相続人に残す予定だった預貯金を使ったり、株式を売却したり、生前贈与したりすることもあります。
遺言書に記載した財産を遺言者が生前に処分した場合、その財産に関する遺言は撤回されたものとみなされることがあります。
ただし、財産を処分したからといって、遺言書全体が当然に無効になるわけではありません。
撤回されたものとみなされるのは、原則として、生前処分と抵触する部分です。
遺言書は、作成した時点で直ちに相続人や受遺者へ財産を移転させるものではありません。
遺言の効力は、原則として遺言者が死亡した時に発生します。
そのため、遺言書に特定の財産を記載しても、遺言者が生きている間は、その財産は遺言者本人のものです。
推定相続人や受遺者は、遺言書に自分の名前が書かれていたとしても、遺言者の生前にその財産を当然に取得する権利を持つわけではありません。
遺言書に記載した財産であっても、遺言者は生前に自由に処分できます。
たとえば、次のような行為です。
不動産を売却する
不動産を贈与する
預貯金を引き出して生活費に使う
株式や投資信託を売却する
車や貴金属を売却する
特定の人に生前贈与する
貸付金を免除する
遺言書を作成したからといって、その後の財産処分が禁止されるわけではありません。
生活費、医療費、介護費用、施設入所費用などのために財産を処分することも当然に可能です。
遺言は、遺言者の最終意思を尊重する制度です。
そのため、遺言者は、いつでも遺言の全部または一部を撤回できます。
たとえば、次のような場合です。
財産の分け方を変えたい
相続人との関係が変わった
受遺者に財産を渡したくなくなった
新しい財産を取得した
不動産を売却した
再婚・離婚した
子や孫が生まれた
相続人や受遺者が先に亡くなった
このような場合には、遺言書の見直しを検討すべきです。
遺言を撤回する場合、原則として遺言の方式に従う必要があります。
つまり、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言など、法律で定められた遺言の方式で撤回する必要があります。
たとえば、新しい遺言書を作成し、前の遺言書を撤回する方法があります。
前に作成した遺言書と、後に作成した遺言書の内容が矛盾する場合があります。
この場合、抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
たとえば、前の遺言で「長男に甲不動産を相続させる」と書き、後の遺言で「次男に甲不動産を相続させる」と書いた場合です。
この場合、甲不動産については、後の遺言が優先されることになります。
ただし、前の遺言のうち、後の遺言と矛盾しない部分は有効に残ることがあります。
複数の遺言書があると解釈が複雑になりやすいため、新しい遺言書を作成する場合は、前の遺言を全部撤回するか、一部撤回するかを明確にしておくことが大切です。
遺言書作成後に、遺言者が遺言内容と矛盾する財産処分をした場合、その抵触する部分について、遺言を撤回したものとみなされることがあります。
たとえば、次のようなケースです。
「長男に甲不動産を相続させる」と遺言書に書いた後、遺言者が甲不動産を売却した。
このような場合、死亡時にその財産が存在しないため、遺言内容を実現できません。
また、財産処分が遺言内容と矛盾するため、その部分について遺言を撤回したものと扱われることがあります。
財産を処分したからといって、遺言書全体が無効になるわけではありません。
撤回されたものとみなされるのは、生前処分と抵触する部分です。
財産処分によって遺言が撤回されたものとみなされるためには、原則として遺言者本人の行為であることが必要です。
遺言は、遺言者本人の最終意思を尊重する制度です。
したがって、撤回とみなされるためにも、遺言者本人の意思に基づく行為であることが重要です。
たとえば、本人の意思に反して第三者が勝手に財産を処分した場合には、当然に遺言者による撤回と同じには扱えません。
生前処分とは、遺言の対象となっている財産について、生前に処分する行為です。
売却、贈与、交換、譲渡、解約などが典型例です。
有償か無償かは問いません。
また、財産処分に限らず、遺言の内容と抵触する法律行為があった場合にも、撤回とみなされることがあります。
たとえば、遺言の前提となっていた法律関係が後に変わった場合などです。
財産処分によって遺言が撤回されたものとみなされるには、その処分が遺言内容と抵触している必要があります。
抵触とは、遺言の内容と後の行為が両立しないことです。
たとえば、「長男に甲不動産を相続させる」という遺言と、甲不動産を第三者に売却する行為は両立しません。
一方、遺言内容と後の行為が矛盾しない場合は、当然に撤回とみなされるわけではありません。
抵触するかどうかは、遺言書の文言だけでなく、遺言全体の趣旨や財産処分の内容から判断されることがあります。
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