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公正証書遺言は、公証人が関与して作成する遺言書です。
自筆証書遺言に比べて、方式不備による無効リスクを減らしやすく、相続開始後の検認も不要であるため、安心感のある遺言書として利用されています。
結論からいうと、耳が聞こえない方でも公正証書遺言を作成することは可能です。
公正証書遺言では、公証人が遺言内容を読み聞かせることが一般的ですが、法律上は「読み聞かせ」だけでなく「閲覧」による確認も認められています。
また、耳が聞こえない遺言者や証人がいる場合には、通訳人の通訳によって内容を伝える方法もあります。そのため、聴覚に不自由があるからといって、公正証書遺言の作成をあきらめる必要はありません。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人が関与して作成する遺言書です。
遺言者が公証人に遺言内容を伝え、公証人がその内容を公正証書として作成します。
公正証書遺言を作成するには、原則として証人2人以上の立会いが必要です。
作成当日は、公証人が遺言内容を確認し、遺言者と証人が内容を確認したうえで、署名押印を行います。
公正証書遺言には、次のようなメリットがあります。
公証人が関与するため方式不備が起こりにくい
原本が公証役場で保管される
紛失や改ざんのリスクを減らせる
家庭裁判所の検認が不要
相続開始後の手続きに使いやすい
高齢の方や自署が難しい方でも作成しやすい
耳が聞こえない方の場合でも、事前に公証役場と調整すれば、筆談、閲覧、通訳人の利用などにより、公正証書遺言を作成することができます。
公正証書遺言では、公証人が作成した遺言内容を、遺言者と証人が確認する必要があります。
一般的には、公証人が遺言書の内容を読み上げ、遺言者と証人がその内容に間違いがないか確認します。
この手続きは、遺言者の意思と公正証書の内容が一致していることを確認するために重要です。
公正証書遺言では、公証人が筆記した内容を、遺言者と証人に読み聞かせ、または閲覧させることが必要です。
つまり、必ず音声で読み聞かせなければならないわけではありません。
遺言者が耳が聞こえない場合でも、遺言書の内容を目で確認できる状態であれば、閲覧によって内容確認を行うことができます。
この点からも、耳が聞こえないことだけを理由に、公正証書遺言を作成できないわけではありません。
耳が聞こえない方の場合、公証人の読み上げを聞き取ることが難しいことがあります。
しかし、公正証書遺言では、読み聞かせに代えて、遺言書の内容を閲覧する方法が認められています。
そのため、遺言者が遺言書の内容を目で確認し、内容に間違いがないことを確認できれば、公正証書遺言を作成できます。
実務上も、公証人は遺言者の状況に合わせて、筆談や書面の確認などを交えながら進めることがあります。
耳が聞こえない方との意思確認では、筆談が利用されることがあります。たとえば、公証人が紙やタブレットなどを使って、次のような点を確認します。
本人確認
遺言内容の理解
財産を誰に残すか
遺言内容に間違いがないか
変更したい部分がないか
自分の意思で作成しているか
筆談によって、公証人と遺言者が直接やり取りできれば、遺言者本人の意思確認を行いやすくなります。
聴覚に不自由がある方の公正証書遺言では、筆談だけでなく、身振りや書面を交えて説明することもあります。
大切なのは、遺言者が遺言内容を理解し、その内容が自分の意思に合っていることを確認できることです。
耳が聞こえない場合でも、視覚による確認や筆談によって意思確認ができれば、公正証書遺言の作成は可能です。
耳が聞こえない方が公正証書遺言を作成する場合、手話通訳人を利用することもできます。
民法では、遺言者または証人が耳が聞こえない者である場合、公証人は、筆記した内容を通訳人の通訳によって遺言者または証人に伝え、読み聞かせに代えることができるとされています。
つまり、公証人が作成した遺言内容を、手話通訳人が遺言者へ通訳することで、内容確認を行うことができます。
手話通訳人を利用したい場合は、必ず事前に公証役場へ相談しておきましょう。当日になって突然「手話通訳人を同席させたい」と伝えても、公証役場で対応が難しい場合があります。
事前に次の点を確認しておくと安心です。
手話通訳人を同席させるか
誰を通訳人にするか
通訳人が証人を兼ねることができるか
通訳人に欠格事由や利害関係がないか
通訳人にも遺言内容を知られることを理解しているか
公証役場が求める本人確認書類があるか
当日の進行方法をどうするか
通訳人は、遺言者の意思を正確に伝える重要な役割を持ちます。
そのため、相続に利害関係のある人ではなく、中立的な立場の人を選ぶことが望ましいです。
手話ができる親族が通訳人として同席することを希望する場合もあります。
しかし、親族が相続人や受遺者になる場合、その人が通訳人として関与すると、後から「遺言者の意思を正しく伝えたのか」「誘導があったのではないか」と争われる可能性があります。
公正証書遺言は、相続開始後の争いを防ぐために作成するものです。
そのため、可能であれば、相続に関係のない手話通訳人を利用することをおすすめします。
公正証書遺言では、証人2人以上の立会いが必要です。
証人が耳が聞こえない場合にも、通訳人の通訳によって内容を伝える方法が認められています。
ただし、証人には、遺言内容や作成手続きが適正に行われているかを確認する役割があります。
そのため、証人が遺言内容を理解できるよう、事前に公証役場と確認方法を調整しておくことが大切です。
証人を選ぶ際は、耳が聞こえるかどうかだけでなく、証人欠格事由にも注意が必要です。
未成年者、推定相続人、受遺者、その配偶者や直系血族などは、公正証書遺言の証人になることができません。
証人に聴覚障がいがある場合でも、欠格事由に該当しなければ証人になること自体は可能です。
ただし、内容理解や確認方法については、公証役場と事前に打ち合わせておきましょう。
耳が聞こえないことと、遺言能力は別の問題です。
耳が聞こえない方でも、遺言内容を理解し、自分の意思で判断できる状態であれば、公正証書遺言を作成できます。
一方で、認知症などにより遺言内容を理解できない場合は、公正証書遺言の作成が難しくなることがあります。
高齢の方の場合は、必要に応じて医師の診断書などを準備することも検討しましょう。
手話通訳人を利用する場合は、通訳人の中立性が重要です。
相続人や受遺者など、遺言内容に利害関係のある人を通訳人にすると、後から争いになる可能性があります。
できるだけ相続に関係のない通訳人を選びましょう。
耳が聞こえない方が公正証書遺言を作成する場合、当日の対応だけで進めるのはおすすめできません。
筆談で進めるのか、手話通訳人を利用するのか、閲覧によって確認するのかを事前に決めておく必要があります。
公証役場によって必要な準備や進め方が異なる場合もあります。
必ず事前に相談しましょう。
耳が聞こえない方でも、自筆証書遺言を作成すること自体は可能です。
しかし、遺言内容が複雑な場合や、相続人間で争いが予想される場合は、公正証書遺言の方が安心です。
公正証書遺言であれば、公証人が関与し、本人の意思確認も行われるため、後日のトラブルを防ぎやすくなります。
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