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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
しかし、遺言書を作成したい方の中には、手書きが難しい方もいます。
遺言書は、法律で定められた方式に従って作成しなければ、無効になる可能性があります。特に、自筆証書遺言では、遺言者本人が全文、日付、氏名を自書し、押印することが必要です。
そのため、自署ができない方が自筆証書遺言を作成することは難しいです。
しかし、自署できないからといって、遺言書を作成できないわけではありません。自分で字を書くことが難しい方でも、公正証書遺言を利用すれば、遺言書を作成できる可能性があります。
遺言書を作成したいと思っていても、手書きが難しい方は少なくありません。
自署が難しくなる理由としては、次のようなものがあります。
高齢で手が震える
手の力が弱くなっている
病気で手が不自由である
特に、高齢になると、名前だけなら何とか書けても、遺言書本文のような長い文章を書くことが難しくなることがあります。
自筆証書遺言では、原則として本文を自書する必要があるため、手書きが難しい方にとっては大きな負担になります。
自署できるかどうかを考えるときに注意したいのは、名前だけ書けることと、遺言書全文を書けることは違うという点です。
自筆証書遺言では、原則として遺言書の全文を本人が自書しなければなりません。
財産の内容、相続させる相手、遺言執行者、日付、氏名などを正確に書く必要があります。
途中で書き間違えた場合は、訂正方法にも法律上のルールがあります。
そのため、名前を書くことはできても、遺言書全体を自分で正確に書くことが難しい方は、自筆証書遺言以外の方法を検討すべきです。
遺言書には、主に次の3つがあります。
自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言
このうち、実務上よく利用されるのは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。秘密証書遺言は制度として存在しますが、実務ではあまり利用されていません。
自署できない方が遺言書を作成する場合は、基本的に公正証書遺言を検討することになります。
自筆証書遺言とは、遺言者本人が自分で書いて作成する遺言書です。
自筆証書遺言として有効に成立させるには、原則として次の要件が必要です。
遺言書の全文を遺言者本人が自書する
日付を自書する
氏名を自書する
押印する
この要件を満たしていない場合、遺言書が無効になる可能性があります。
そのため、遺言者本人が手書きできない場合、自筆証書遺言を作成することは困難です。
法改正により、自筆証書遺言に添付する財産目録については、自書でなくてもよいことになりました。
たとえば、パソコンで作成した財産目録や、不動産の登記事項証明書、預貯金通帳のコピーなどを添付することができます。
ただし、財産目録を自書しない場合でも、各ページに署名押印が必要です。
また、財産目録以外の遺言書本文、日付、氏名は、遺言者本人が自書しなければなりません。
したがって、本文や氏名を自書できない方は、自筆証書遺言を選ぶことは難しいです。
自署できない方のために、親族が代わりに本文を書くことはできるのでしょうか。
結論として、親族が代筆した遺言書は、自筆証書遺言としては有効になりません。
自筆証書遺言は、遺言者本人が自書することが要件です。
家族が本人の希望を聞いて代筆したとしても、それは本人が自書した遺言書ではありません。
たとえ内容が本人の意思に沿っていたとしても、方式を満たしていなければ無効になる可能性が高いです。
「本人が言ったとおりに家族が書いたから大丈夫」と考えるのは危険です。
自署できない方におすすめなのは、公正証書遺言です。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成する遺言書です。自筆証書遺言と異なり、遺言書の本文を遺言者本人が手書きする必要はありません。
事前に遺言内容を整理し、公証人が公正証書として作成します。
遺言者は、公証人と証人2名の前で遺言内容を確認し、本人の意思であることを示します。
そのため、手書きで長文を書くことができない方でも、公正証書遺言であれば作成できる可能性があります。
公正証書遺言では、遺言者、証人、公証人が署名押印します。
しかし、遺言者が病気や身体の状態により署名できない場合でも、公証人がその事情を付記することで、署名に代えることができます。
つまり、遺言者本人がまったく文字を書けない場合でも、公正証書遺言であれば作成できる可能性があります。
自筆証書遺言では、本人の自書が必要です。一方、公正証書遺言では、署名できない事情がある場合の対応が法律上予定されています。
この点が、自署できない方にとって大きな違いです。
体調が悪く、公証役場まで行けない方もいます。そのような場合、公証人が自宅、病院、介護施設などへ出張して公正証書遺言を作成できる場合があります。
入院中や施設入所中であっても、遺言能力があり、本人の意思を確認できる状態であれば、公正証書遺言を作成できる可能性があります。
ただし、出張には日程調整や追加費用が必要になることがあります。早めに公証役場や専門家へ相談することが大切です。
公正証書遺言では、遺言者が署名できない場合に、公証人がその事情を付記して署名に代えることができます。
ただし、この方法は、あくまで遺言者が本当に署名できない場合に利用するものです。
「字が汚いから書きたくない」
「書くのが面倒だから代わりに書いてほしい」
「緊張するので署名したくない」
このような理由だけで安易に署名を省略するものではありません。
本人が自分の氏名を書けるのであれば、できる限り本人が署名する方が望ましいです。
公正証書遺言は、公証人が関与するため安全性の高い遺言書です。
それでも、相続開始後に遺言書の有効性を争われる可能性がまったくないわけではありません。
本人が署名できる場合は、本人が署名しておくことで、本人の意思で作成されたことを示しやすくなります。
字が震えていても、読みづらくても、本人が自分で署名できるのであれば、その方が安心です。
手が震える方に対して、親族が手を添えて遺言書を書かせることがあります。
このような「添え手」で作成された自筆証書遺言は、有効性をめぐって争いになりやすいです。
自筆証書遺言では、遺言者本人が自書したことが重要です。
親族の手が強く関与していると、本当に本人の筆跡といえるのか、本人の意思が正確に反映されているのかが問題になります。
判例上、添え手による自筆証書遺言がすべて当然に無効とされるわけではありません。
しかし、有効と認められるには、遺言者に自書能力があり、他人の補助が遺言者の筆記を妨げず、筆跡に影響しない程度であることなど、非常に慎重な判断が必要になります。
実務上、添え手で作成された遺言書は、相続開始後に争われるリスクが高いです。
そのため、手書きが難しい方は、添え手で自筆証書遺言を作成するのではなく、公正証書遺言を選択することをおすすめします。
まず、誰にどの財産を残したいのかを整理します。確認すべき内容は、たとえば次のとおりです。
相続人は誰か
財産には何があるか
預貯金を誰に残すか
自分で書くことが難しい場合でも、口頭で希望を伝えたり、家族や専門家に整理を手伝ってもらったりすることは可能です。
ただし、最終的な意思は遺言者本人のものでなければなりません。
公正証書遺言を作成する際には、一般的に次のような書類を準備します。
遺言者の本人確認書類
印鑑登録証明書
遺言者と相続人の関係が分かる戸籍謄本
受遺者の住民票など
不動産の登記事項証明書
固定資産評価証明書
預貯金や有価証券の資料
遺言執行者に関する情報
必要書類は、遺言内容や公証役場によって異なる場合があります。
専門家に依頼する場合は、必要書類の収集もサポートしてもらえることがあります。
遺言内容と資料をもとに、公証人と打ち合わせを行います。
遺言者が署名できない場合や、公証役場へ行けない場合は、事前にその事情を伝えておく必要があります。
病院や施設で作成する場合は、出張の可否、日程、証人の手配、本人確認、意思確認の方法などを調整します。
公正証書遺言を作成するには、証人2名の立会いが必要です。
証人にはなれない人もいます。
たとえば、推定相続人、受遺者、その配偶者や直系血族などは証人になれません。
親族に頼むのが難しい場合は、行政書士などの専門家に証人を依頼することもあります。
公正証書遺言の作成当日、公証人は遺言者本人の意思を確認します。
遺言者が遺言内容を理解しているか、自分の意思で作成しているかが重要です。
公証人は、遺言書の内容を読み聞かせ、または閲覧させ、遺言者が内容に間違いないことを確認します。
遺言者が署名できない場合は、その事情を公証人が付記して手続きを進めます。
遺言書を作成するには、遺言内容を理解し、自分の意思で判断できる能力が必要です。
手が不自由で字が書けないだけであれば、遺言能力とは別の問題です。
しかし、認知症や意識障害などで意思確認が難しい場合は、公正証書遺言であっても作成が難しくなります。
高齢や病気で体調に不安がある場合は、できるだけ早めに準備しましょう。
高齢の方や病気療養中の方が遺言書を作成する場合、後日の争いに備えて、医師の診断書を準備することがあります。
特に、認知症の疑いがある場合や、相続人間で争いが予想される場合は、遺言能力を示す資料を残しておくことが重要です。
診断書があれば絶対に争われないわけではありませんが、遺言書作成時の判断能力を示す資料の一つになります。
自署できない方の遺言書では、相続人から「誰かに誘導されたのではないか」と疑われることがあります。
特定の相続人に有利な内容の場合は、特に注意が必要です。
遺言者本人の意思であることが分かるように、公証人との打ち合わせ、専門家の関与、付言事項、診断書などを活用し、客観的な資料を残しておくと安心です。
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