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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
遺言書は、ご自身が亡くなった後に、誰へどの財産を引き継がせるのかを決めておくための大切な書類です。
通常は、「長男に自宅不動産を相続させる」「妻に預貯金を相続させる」というように、相続開始時に効力が発生する内容で作成します。
しかし、遺言書を作成する時点では、将来の家族の状況がどう変わるかまでは分かりません。
将来の出来事を条件として財産を渡したい場合に検討されるのが、停止条件付遺贈です。
停止条件付遺贈とは、一定の条件が成就したときに、初めて効力が発生する遺贈のことです。
たとえば、「孫が婚姻したときに、自宅不動産を遺贈する」という遺言があった場合、遺言者が亡くなっただけでは、孫がすぐに自宅不動産を取得するわけではありません。
遺言者の死亡後、孫が実際に婚姻したときに、遺贈の効力が発生します。
つまり、停止条件付遺贈は、遺言者の死亡時ではなく、遺言書に書かれた条件が実現した時点で効力が発生する点に特徴があります。
たとえば、遺言者に子ども1人と孫1人がいるケースです。
遺言者としては、子どもには預貯金を相続させたい一方で、孫が将来結婚して家庭を持つなら、自宅不動産を住まいとして残してあげたいと考えている場合があります。
このような場合、遺言書には次のように記載することが考えられます。
「遺言者は、遺言者の孫〇〇が婚姻したときは、下記不動産を孫〇〇に遺贈する。」
この場合、遺言者の死亡後すぐに孫が不動産を取得するのではなく、孫が婚姻した時点で遺贈の効力が発生します。
孫の進学を支援する目的で、停止条件付遺贈を使うこともあります。
たとえば、孫が大学の医学部に入学した場合に、学費の一部として現金を渡したいというケースです。
この場合、次のような記載が考えられます。
「遺言者は、遺言者の孫〇〇が大学の医学部に入学したときは、孫〇〇に金200万円を遺贈する。」
このように書いておけば、孫が医学部に入学した場合に限り、金200万円の遺贈を受けることになります。
ただし、「大学の医学部」といっても、国内大学に限るのか、海外大学も含むのか、医学科に限るのか、歯学部・薬学部・看護学部は含まないのかなど、条件の内容が曖昧だと後で争いになる可能性があります。
条件はできるだけ客観的に判断できる内容にしておくことが大切です。
事業承継の場面でも、停止条件付遺贈が検討されることがあります。
たとえば、子どもが実際に家業を継ぐのであれば、店舗や事業用不動産を承継させたいという場合です。
記載例としては、次のような形が考えられます。
「遺言者は、長男〇〇が遺言者の営む〇〇業を承継し、相続開始後〇か月以内に当該事業を開始したときは、下記不動産を長男〇〇に遺贈する。」
ただし、事業承継に関する条件は、内容が複雑になりやすいです。
「家業を継ぐ」とは何を意味するのか、代表者になることなのか、実際に勤務することなのか、一定期間事業を継続することなのかを明確にしなければなりません。
事業用財産を条件付きで承継させる場合には、遺言書だけでなく、生前の事業承継計画や会社関係の手続も含めて検討する必要があります。
通常の遺贈は、遺言者が亡くなった時に効力が発生します。
たとえば、「長男に自宅不動産を遺贈する」と書かれていれば、遺言者の死亡により、その遺贈の効力が発生します。
一方、停止条件付遺贈では、遺言者が亡くなっただけでは効力が発生しません。遺言書に書かれた条件が成就して、初めて効力が発生します。
この違いは非常に重要です。
条件が成就するまでの間、財産を誰が管理するのか、条件が成就しなかった場合に誰が取得するのか、受遺者が先に亡くなった場合にどうなるのかを考えておかなければならないからです。
停止条件付遺贈では、条件が成就するまでの間、対象財産の扱いが問題になります。
たとえば、遺言者が「孫が結婚したら自宅不動産を遺贈する」と書いた場合、遺言者が亡くなってから孫が結婚するまでの間、その不動産を誰が管理するのかを決めておく必要があります。
不動産であれば、固定資産税、修繕費、火災保険、管理費、賃貸している場合の賃料管理などが発生します。
預貯金や現金であれば、条件が成就するまで、その金銭をどのように保管しておくのかが問題になります。
この点を曖昧にしたままにすると、相続人と受遺者の間でトラブルになる可能性があります。
そのため、停止条件付遺贈を利用する場合には、遺言執行者を指定し、条件成就までの管理方法をできるだけ明確にしておくことが重要です。
停止条件付遺贈で最も注意すべきなのは、条件の書き方です。
条件が曖昧だと、相続開始後に「条件を満たしたのかどうか」をめぐって争いになる可能性があります。
たとえば、次のような条件は注意が必要です。
「孫が立派に成長したら」
「次男がまじめに働いたら」
これらは遺言者の気持ちとしては理解できますが、客観的に判断することが難しい表現です。
遺言に条件を付けることはできますが、どのような条件でも認められるわけではありません。
たとえば、公序良俗に反する条件や、実現不可能な条件を付けると、遺言内容の有効性が問題になる可能性があります。
また、相続人や受遺者の婚姻、離婚、職業選択、居住地、信仰などに過度に干渉するような条件は、トラブルの原因になりやすいです。
「財産を渡したい」という目的と、「相手の人生を過度に縛る」内容とは区別して考える必要があります。
条件を付ける場合は、法的に有効かどうかだけでなく、残される家族にとって受け入れやすい内容かどうかも慎重に検討しましょう。
停止条件付遺贈を使う場合でも、遺留分への配慮は必要です。
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された最低限の取り分です。
たとえば、孫や第三者に大きな財産を遺贈する内容にすると、子や配偶者など遺留分を有する相続人の取り分を侵害する可能性があります。
条件付きであっても、条件が成就すれば財産が受遺者に移るため、他の相続人から遺留分侵害額請求を受けるリスクがあります。
特に、不動産や高額な預貯金を停止条件付遺贈の対象にする場合には、遺留分への影響を事前に確認しておくことが重要です。
条件は、誰が見ても判断できるように書く必要があります。
「しっかり働いたら」「家族を大事にしたら」といった主観的な条件ではなく、証明書類などで確認できる条件にしましょう。
条件が成就しなかった場合に、対象財産を誰が取得するのかを書いておくことが重要です。
これを書いていないと、その財産について遺産分割協議が必要になることがあります。
条件成就前に受遺者が亡くなった場合、その遺贈は原則として効力を生じません。
その場合に備えて、代わりに誰へ相続させるのかを決めておきましょう。
不動産や金銭を条件付きで遺贈する場合、条件が成就するまでの間、誰が管理するのかを考える必要があります。
特に不動産の場合は、固定資産税、修繕、賃貸管理などの問題があります。
停止条件付遺贈では、条件成就の確認や財産の引渡しに実務上の判断が必要になることがあります。
遺言執行者を指定しておくことで、相続開始後の手続を進めやすくなります。
停止条件付遺贈は、通常の遺言よりも文言が複雑になりやすいです。
条件の書き方が曖昧だと、相続開始後に争いになる可能性があります。
そのため、停止条件付遺贈を入れる場合は、公正証書遺言で作成することをおすすめします。
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