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離婚した父親が死亡したとの連絡が来たら?

初めに

離婚後、長年交流のなかった父親が亡くなった場合でも、戸籍上の親子関係が続いていれば、子は原則として父親の相続人になります。

両親の離婚によって、元配偶者は相続人ではなくなります。しかし、親と子の法律上の関係は、両親が離婚しただけではなくなりません。どれほど疎遠であっても、前婚の子と再婚後の子は、いずれも法律上の子として相続人になる可能性があります。

財産の内容が分からないまま預金を使ったり、価値のある遺品を売却したりすると、相続を承認したと判断され、相続放棄が難しくなる可能性があります。

死亡の連絡を受けたら、まず連絡日と内容を記録し、父親の財産には必要以上に手をつけず、戸籍と財産の調査を始めることが重要です。

死亡連絡を受けたら最初にすること

離婚した父親の死亡連絡を受けた場合は、次の順序で対応します。

1.連絡してきた相手と死亡の事実を確認する
2.死亡を知った日と連絡内容を記録する
3.遺言書の有無を確認する
4.父親の出生から死亡までの戸籍を集める
5.自分以外の相続人を確認する
6.預貯金、不動産、借金などを調査する
7.相続するか、相続放棄するかを検討する
8.調査が3か月以内に終わらなければ、熟慮期間の伸長を検討する

特に重要なのは、死亡連絡を受けたその場で、相続することを前提とした書類に署名しないことです。

親族、大家、債権者などから書類への署名を求められても、その書類が何を意味するのか確認してから対応しましょう。

両親が離婚しても子の相続権はなくならない

離婚によって法律上の夫婦関係は終了します。

そのため、父親と離婚した母親は、父親が亡くなっても原則として相続人にはなりません。

一方、父親と子の法律上の親子関係は、離婚によって終了しません。

次のような事情があっても、原則として子の相続権は残ります。

・離婚後、一度も父親と会っていない
・父親から養育費を受け取っていない
・父親が再婚している
・父親の現在の家族と交流がない
・父親の姓とは異なる姓を使用している
・母親の戸籍に入っている
・父親の葬儀に出席していない

父親が再婚していた場合は、死亡時の配偶者も相続人になります。

また、父親と再婚相手との間に子どもがいれば、その子も相続人です。前婚の子と再婚後の子について、法律上の相続順位に差はありません。

例えば、再婚した妻、前妻との子である自分、再婚後に生まれた異母弟は父親の相続人とします。

遺言書がなく、ほかに特殊な事情がなければ、3人で相続手続きを進めることになります。

死亡の連絡は誰から来る?

疎遠だった父親の死亡を知らせる連絡は、さまざまなところから来る可能性があります。

代表的なのは次のような相手です。

・父親の兄弟姉妹や親族
・再婚相手や異母兄弟姉妹
・警察
・父親が住んでいた自治体
・病院や介護施設
・自宅の大家や管理会社
・遺言執行者
・弁護士、司法書士、行政書士などの専門家
・金融機関や債権者

ただし、親が亡くなると子に自動的に通知される制度があるわけではありません。

連絡先が判明しない、周囲が前婚の子の存在を知らないなどの理由で、死亡から相当期間が経過した後に初めて知るケースもあります。

死亡しているか気になる場合は戸籍で確認できる

父親が亡くなった可能性があるものの、誰からも連絡が来ない場合は、子から戸籍を取得して生死を確認できることがあります。

父母と子は直系親族であるため、一定の戸籍証明書を請求できます。

2024年3月1日から戸籍証明書等の広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でも、本人、配偶者、直系尊属、直系卑属の戸籍・除籍証明書を請求できるようになりました。

ただし、広域交付には次のような制限があります。

・窓口へ本人が出向く必要がある
・代理人による請求はできない
・郵送による広域交付は利用できない
・顔写真付きの本人確認書類が必要
・一部の戸籍は対象外になることがある
・兄弟姉妹や叔父・叔母などの戸籍は、直系親族としての広域交付対象ではない

広域交付で取得できない戸籍は、本籍地の市区町村へ個別に請求します。

警察から死亡連絡が来た場合

一人暮らしをしていた父親が自宅で亡くなった場合などには、警察から連絡を受けることがあります。

突然の電話で動揺していても、まず次の事項を確認しましょう。

・連絡してきた警察署と担当者の氏名
・父親の氏名、生年月日、住所
・発見された日時と場所
・死亡が確認された日時
・遺体の現在の安置場所
・今後求められている対応
・警察が保管している遺留品
・父親の自宅へ立ち入れる状態か
・ほかに連絡済みの親族がいるか

不審に感じる場合は、いったん電話を切り、自分で警察署の代表番号を調べて掛け直します。

電話口で暗証番号、インターネットバンキングの情報、現金の振込みなどを求められた場合は、詐欺の可能性も考えてください。

遺体や遺骨の引取りと相続は別の問題

警察や自治体から、遺体や遺骨の引取り、葬儀、納骨などについて意向を確認されることがあります。

身元確認をしたり、遺体を引き取ったり、葬儀を手配したりしたことだけで、直ちに相続を単純承認したと決まるわけではありません。

ただし、父親の預金を引き出して葬儀費用に使用する場合や、遺品を売却して費用を捻出する場合は、相続財産を処分したと評価される可能性があります。

相続放棄を検討している場合は、次の点に注意しましょう。

・葬儀費用を父親の預金から安易に支払わない
・父親名義の口座から現金を引き出さない
・貴金属や車などを売却しない
・高価な遺品を自分のものとして使用しない
・賃貸住宅の残置物を一括処分しない
・大家や管理会社の書類へすぐに署名しない

必要な保存行為と、相続財産の処分に当たる行為の境界は、個別事情によって判断されます。

相続放棄の可能性を残したい場合は、「価値があるか分からない物も含めて、処分せず保管する」という対応が安全です。

連絡を受けた日を記録する

相続放棄の3か月は、単純に父親の死亡日から数えるとは限りません。

法律上は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に判断します。裁判所も、相続放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に申し立てると案内しています。

疎遠だった父親については、死亡日から数か月後、あるいは数年後に初めて死亡を知ることもあります。

その場合、父親の死亡日ではなく、実際に死亡と自分が相続人であることを知った時が問題になる可能性があります。

ただし、いつから3か月が始まったかは、個別の事情によって判断されます。

死亡連絡を受けたら、次の情報を残しておきましょう。

・連絡を受けた年月日と時刻
・連絡してきた人の氏名と所属
・電話、手紙、メールなど連絡の方法
・伝えられた内容
・死亡を確認した資料
・相続人であると知った経緯
・借金などの存在を知った日

郵便物、メール、着信履歴、警察や自治体からの通知書は処分せず保管します。

この記事の監修者

行政書士法人クローバー法務事務所代表行政書士 大山悠太

監修者

行政書士法人クローバー法務事務所

代表行政書士

大山悠太

経歴

プロフィール
【経歴】
 
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
 
2017年11月:行政書士試験合格
 
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
 
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
 
【保有資格】
 
TOEIC745
 
宅地建物取引士
 
行政書士(申請取次)
 
ビジネス実務法務検定2級
 
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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