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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
そのため、養親が亡くなった場合、養子は原則として実子と同じ第1順位の法定相続人になります。法務省も、普通養子縁組の主な効果として、養親が死亡したときに養子が相続人になることを案内しています。
しかし、この相続権が原因となり、あるトラブルが起こることがあります。
さらに、養子縁組には民法上の相続だけではなく、相続税の基礎控除や相続税額の2割加算など、税務上の問題も関係します。
養子縁組とは、本来親子ではない者の間に、法律上の親子関係を生じさせる制度です。
普通養子縁組が成立すると、養親と養子との間には法律上の親子関係が生じ、養子は養親の親族関係に入ります。民法第727条も、養子と養親および養親の血族との間に、養子縁組の日から血族と同一の親族関係が生じることを定めています。
養子縁組が利用される場面には、たとえば次のようなものがあります。
再婚相手の連れ子を養子にする
孫を養子にする
子どもの配偶者である嫁や婿を養子にする
甥や姪などの親族を養子にする
家業の後継者を養子にする
相続を含めた財産承継を目的として養子縁組を検討する
ただし、養子縁組は単に「財産を渡せるようにする手続き」ではありません。
法律上の親子関係そのものを作る制度であり、扶養や相続など幅広い法律関係が生じるため、将来の家族関係まで考えて慎重に判断する必要があります。
普通養子縁組では、養親との法律上の親子関係が新たに生じますが、実親との親子関係も原則として残ります。
そのため、普通養子となった人は、実親の相続人と養親の相続人の双方になることがあります。
法務省も、普通養子縁組では縁組後も実親子関係が存続すると説明しています。
たとえばAさんがBさんの普通養子になったとしても、Aさんと実父母との法律上の親子関係がなくなるわけではありません。
実父が亡くなれば実父の相続人となり、養父Bさんが亡くなればBさんについても相続人となる可能性があります。
これに対し、特別養子縁組が成立すると、原則として養子と実方の父母およびその血族との親族関係は終了します。
民法第817条の9でも、この点が明確に定められています。
そのため、普通養子縁組と特別養子縁組では、相続関係が大きく異なります。
相続対策として一般的に問題になる孫養子、連れ子養子、嫁・婿養子などの多くは普通養子縁組です。
普通養子縁組をすると、養子は民法上、養親の「子」として扱われます。
したがって、養親が亡くなった場合には、実子と養子を区別せず、第1順位の法定相続人になります。
たとえば、父に、長男・長女・養子Aの3人の子がおり、配偶者がすでに亡くなっている場合を考えてみましょう。
法定相続分を基準にすれば、それぞれ3分の1です。養子だから実子より相続分が少ないという扱いにはなりません。
このことが、養子縁組後の相続トラブルの大きな原因となります。
最も起こりやすいのが、実子と養子との間のトラブルです。
たとえば、父に実子が長男と長女の2人だけであれば、配偶者がいない場合、それぞれの法定相続分は2分の1です。
ところが父が第三者Aと養子縁組すると、相続人は、長男・長女・養子Aの3人になります。
法定相続分はそれぞれ3分の1になります。
実子からすれば、これまで自分たち兄妹で半分ずつだと思っていたのに、突然知らない人が3分の1を取得することになったという状況になり得ます。
養子縁組自体を実子に知らせていなかった場合には、被相続人の死亡後、戸籍を調査して初めて養子の存在が判明することもあります。
このような場合、遺産分割協議が感情的な対立に発展する可能性があります。
養子縁組によって影響を受けるのは、実子だけではありません。
被相続人に実子がいない場合、それまで相続人になる可能性があった、父母などの直系尊属と兄弟姉妹が相続人になれなくなることがあります。
子は第1順位、父母などの直系尊属は第2順位、兄弟姉妹は第3順位だからです。
たとえば、独身で実子のいないAさんについて、両親もすでに亡くなっており、兄と妹がいたとします。
養子がいなければ、兄と妹が相続人になる可能性があります。
ところがAさんがBさんと養子縁組すると、Bさんが第1順位の相続人になります。
第1順位の相続人がいるため、原則として兄と妹は相続人にはなりません。
養子縁組によって、単に「相続人が1人増える」だけではなく、それまで相続人になる可能性があった親族の相続順位そのものが変わることがあるのです。
再婚した際、配偶者の連れ子と養子縁組をするケースがあります。
たとえば、AさんがBさんと再婚、Bさんには前婚の子Cがいる、AさんがCと養子縁組というケースです。
AさんとCの養子縁組が成立すれば、CはAさんの法律上の子となります。
その後AさんとBさんが離婚しても、AさんとCの養子縁組まで当然に解消されるわけではありません。
養子縁組を解消するためには、別途「離縁」の手続きが必要です。法務省・裁判所も、養親と養子の関係を解消するには協議離縁や裁判所での離縁手続きが必要であると案内しています。
したがって、離婚後何十年も連絡を取っていなくても、離縁していなければ、養子が養親の第1順位の法定相続人となる可能性があります。
普通養子縁組は、養親と養子の双方が合意すれば、協議によって離縁することができます。
法務省も、養親と養子は協議によって離縁できると案内しています。
しかし、もう親子関係を解消したいと養親だけが希望しても、養子が同意するとは限りません。
双方の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の離縁調停を利用することができます。裁判所によると、離縁調停の申立手数料は2026年8月現在、収入印紙1,200円分で、このほか郵便料が必要です。
調停でも解決できない場合には、一定の法定原因があることを前提に離縁の訴えを検討することになります。法務省も「縁組を継続し難い重大な事由」などがある場合に離縁の訴えを提起できると案内しています。
したがって、必要がなくなったら簡単に養子縁組を解除すればよいと考えて養子縁組をするのは危険です。
養子縁組を解消する離縁が成立すれば、原則として将来の養親子間の相続関係にも影響します。
しかし、養親がすでに亡くなった後で離縁をしても、すでに発生した相続について養子でなかったことになるわけではありません。
裁判所も、死後離縁について、すでに生じた相続における相続人の地位は死後離縁によって影響を受けないと明確に説明しています。
そのため、養親が亡くなった後に死後離縁をすれば、その相続をなかったことにできるという制度ではありません。
まず、養子縁組をしたら誰が相続人になるのかを確認しましょう。
特に、
実子がいる
子どもがいない
兄弟姉妹がいる
孫を養子にする
嫁や婿を養子にする
再婚相手の連れ子を養子にする
といった場合には、現在と養子縁組後で相続人の構成が大きく変わることがあります。
養子縁組をした後に初めて考えるのではなく、縁組前に戸籍関係と推定相続人を確認しておくことが大切です。
養子縁組そのものを秘密にしていると、相続発生後に初めて事実を知った実子などが強い不信感を持つことがあります。
たとえば、
「長年介護してくれた嫁を実子と同じように扱いたい」
「事業を継いでくれる婿を後継者として養子にする」
「再婚相手の子を家族として正式に迎えたい」
など、養子縁組にはそれぞれ理由があります。
可能であれば、生前にその理由を家族へ伝えておくことで、なぜ自分の相続分を減らされたのかという感情的な対立を和らげられる可能性があります。
養子縁組をする場合には、遺言書も併せて検討することをおすすめします。
遺言書がなければ、相続発生後に実子と養子を含む相続人全員で遺産分割協議を行う必要が生じることがあります。
一方、有効な遺言書で、
誰に自宅を相続させるのか
誰に預貯金を相続させるのか
養子にどの財産を残すのか
実子にどの財産を残すのか
その他の財産を誰が取得するのか
まで具体的に決めておけば、相続人同士が一から財産の分け方を話し合う場面を減らすことができます。
政府広報でも、遺言書がある場合には原則として遺言内容が優先されることが案内されています。
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