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分割相続とは?

初めに

ご家族間での話し合い、情報共有は重要

相続人が複数いる場合、亡くなった方の財産を「誰が、何を、どれくらい相続するのか」を決めなければならないことがあります。

預貯金のように比較的分けやすい財産だけであれば話し合いがまとまりやすいこともありますが、自宅や土地、収益不動産、自動車、株式などが含まれていると、単純に人数で分けることはできません。

「実家を残したい人」と「売却して現金を受け取りたい人」がいるなど、相続人によって希望が異なることもあります。

分割相続とは

分割相続とは、複数の相続人がいる場合に、被相続人(亡くなった方)が遺した財産を相続人の間で分けて承継することをいいます。

相続人が複数いる場合、相続開始後の遺産は原則として共同相続人の共有に属し、その後、遺言の内容や相続人による遺産分割によって、最終的に誰がどの財産を取得するかを確定させていくことになります。

たとえば、父が亡くなり、相続人が長男と長女の2人、遺産として自宅不動産、預貯金、自動車があったとします。

相続開始直後から「自宅は長男のもの、預貯金は長女のもの」と自動的に決まるわけではありません。

遺言書がなければ、相続人同士で話し合い、「自宅と自動車は長男が取得する」「預貯金は長女が取得する」「財産価値に差があるため長男から長女へ代償金を支払う」といった形で具体的な分け方を決定することになります。

この話し合いが「遺産分割協議」です。

分割相続と単独相続の違い

分割相続と対比される考え方として「単独相続」があります。

単独相続とは、基本的には1人の相続人が遺産を承継するケースを指します。

たとえば、被相続人の配偶者がすでに亡くなっており、子どもが1人だけの場合などです。

また、本来複数の相続人がいたとしても、相続放棄などによって結果的に相続人が1人となるケースも考えられます。

相続人が1人だけであれば、財産を誰に分けるのかを相続人同士で協議する必要がないため、通常は遺産分割協議を行う必要はありません。

これに対して相続人が複数いる場合には、遺言によって具体的な取得者が決まっている場合などを除き、遺産分割について相続人間で調整する必要があります。

なお、法定相続分は遺産分割を考える際の重要な基準ではありますが、相続人全員で合意できる場合には、具体的な財産の取得方法について協議して決めることができます。

分割相続には4つの方法がある

現物分割

現物分割とは、遺産を売却したり換金したりせず、それぞれの財産をそのまま相続人が取得する方法です。

たとえば、相続人が長男と長女の2人で、自宅不動産3,000万円と預貯金:2,000万円という遺産があった場合、長男が自宅不動産を取得する・長女が預貯金を取得するという分け方が現物分割です。

代償分割

代償分割とは、1人または一部の相続人が不動産などの財産を取得し、その代わりに他の相続人へ「代償金」を支払う方法です。裁判所も、現物を取得した相続人が他の相続人に代償金を支払う方法として案内しています。

たとえば、

遺産:評価額3,000万円の自宅のみ

相続人:長男と長女

相続割合:それぞれ2分の1

というケースを考えてみます。

長男が自宅をすべて取得するのであれば、長女に1,500万円の代償金を支払うことで、経済的なバランスを取る方法が考えられます。

換価分割

換価分割とは、不動産などの遺産を売却し、売却代金を相続人で分ける方法です。

たとえば、相続人は兄・弟の2人ですし、遺産は自宅のみですし、売却価格:4,000万円であれば、自宅を4,000万円で売却し、必要な費用を考慮したうえで、その代金を兄弟で分ける方法が考えられます。

共有分割

共有分割とは、1つの財産を複数の相続人が共有して取得する方法です。

たとえば、兄と妹が不動産を2分の1ずつ取得するようなケースです。

分割相続の方法はどのように決める?

遺言書がある場合

有効な遺言書があり、「自宅は長男に相続させる」「○○銀行の預金は長女に相続させる」など具体的な財産の取得者が指定されていれば、原則として遺言内容に沿って相続手続きを進めます。

法務局でも、不動産について、遺言書がある場合と遺産分割協議による場合を分けて相続登記の手続きが案内されています。

ただし、遺言書があるからといって、必ずすべての遺産について遺産分割が不要になるとは限りません。

たとえば、遺言書に書かれていない財産が見つかったといったケースでは、別途対応が必要になる場合があります。

遺言書と異なる内容で分けたい場合も、遺言の内容、遺言執行者の有無、受遺者など関係者の状況によって判断が異なるため、自己判断で進めないことが大切です。

遺言書がない場合

遺言書がなく相続人が複数いる場合には、基本的に相続人全員で遺産分割について協議します。

国税庁も、遺言書がある場合はその内容によりますが、遺言書がない場合には相続人全員で遺産の分割について協議する旨を案内しています。

話し合いでは、

誰が自宅を取得するのか

預貯金をどのように分けるのか

不動産を残すのか売却するのか

代償金を支払うのか

株式や自動車などを誰が取得するのか

などを具体的に決定します。

遺産分割協議が成立したら、その内容を「遺産分割協議書」として書面に残します。

不動産の相続登記など、その後の相続手続では、遺産分割協議書やそこに押印した印鑑に関する証明書類が必要となる場合があります。

分割相続で起こりやすい5つのトラブル

相続人の一部と連絡が取れない

遺産分割協議は、一部の相続人だけで勝手に決めることはできません。

そのため、疎遠になっている兄弟姉妹がいる場合や、相続人の住所がわからない場合には、まず相続人を調査する必要があります。

戸籍や戸籍の附票などを確認しても所在がわからない場合には、状況に応じて家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立てる方法などが検討されます。

裁判所も、共同相続人に行方不明者がいる場合、不在者財産管理人を選任し、その管理人が手続きに参加する方法を案内しています。遺産分割協議など一定の行為を行う場合には、家庭裁判所の許可が必要となることがあります。

相続人に未成年者がいる

相続人に未成年の子どもが含まれている場合にも注意が必要です。

ただし、「未成年者が相続人なら必ず特別代理人が必要」というわけではありません。

たとえば父親が亡くなり、母親と未成年の子どもの双方が相続人となる場合、母親自身も相続人であるため、母親と子どもの利益が対立する可能性があります。

このような利益相反が生じるケースでは、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立て、特別代理人が未成年者に代わって遺産分割協議に参加する必要があります。

代償金を支払えない

不動産を1人の相続人に集中させたい場合に便利なのが代償分割ですが、代償金が高額になると支払いが難しくなります。

たとえば、自宅は5,000万円で、その他の財産はほとんどなしというケースでは、自宅を取得する相続人自身に十分な預貯金がなければ、多額の代償金を用意できない可能性があります。

「実家を残したい」という希望だけで代償分割を決めるのではなく、相続発生後にどのように資金を準備するのかまで考えておくことが大切です。

生前であれば、生命保険などを含めて資金面を検討しながら相続対策を考える余地があります。

分割相続をスムーズに進めるために生前からできること

遺言書を作成しておく

最も重要な対策の一つが遺言書の作成です。

たとえば、「自宅土地建物は妻に相続させる」「○○銀行○○支店の預金は長女に相続させる」「その他の財産は長男に相続させる」

といった形で取得者を具体的に決めておけば、相続発生後に「誰がこの財産を取得するのか」という話し合いを減らすことができます。

特に、

不動産がある

子どもが複数いる

再婚している

前婚の子どもがいる

子どものいない夫婦である

相続人同士が疎遠である

特定の子どもに事業を継がせたい

同居している家族に自宅を残したい

といった家庭では、遺言書を作成する意味が大きくなります。

この記事の監修者

行政書士法人クローバー法務事務所代表行政書士 大山悠太

監修者

行政書士法人クローバー法務事務所

代表行政書士

大山悠太

経歴

プロフィール
【経歴】
 
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
 
2017年11月:行政書士試験合格
 
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
 
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
 
【保有資格】
 
TOEIC745
 
宅地建物取引士
 
行政書士(申請取次)
 
ビジネス実務法務検定2級
 
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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