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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
特に重要なのが相続です。
民法上の法定相続人となるのは、法律上の配偶者と、子・直系尊属・兄弟姉妹など一定の親族です。事実婚のパートナーは法定相続人には含まれません。政府広報も、内縁関係の人は民法上の相続人ではない一方、遺言によって財産を残すことができると案内しています。
また、2026年8月現在、日本では同性カップルについて法律婚と同じ婚姻関係を成立させる全国的な制度は導入されていません。したがって、日本法上の法律上の配偶者となっていない同性パートナーについても、原則として婚姻した配偶者としての法定相続権はありません。
そのため、パートナーに財産を引き継いでもらいたいという希望がある場合には、生前の対策が非常に重要になります。その中心となるのが遺言書です。
まず理解しておきたいのが、一緒に暮らしていた年数の長さだけで法定相続人になるわけではないということです。
たとえばAさんとBさんが30年間一緒に生活し、家計も完全に一緒だったとしても、法律上の婚姻関係がなく、BさんがAさんの法定相続人に該当しなければ、Aさんが亡くなっただけでBさんに相続権が発生するわけではありません。
法定相続人は次の順位で決まります。
| 順位 | 法定相続人 |
|---|---|
| 常に相続人 | 法律上の配偶者 |
| 第1順位 | 子、一定の場合は孫など |
| 第2順位 | 父母、祖父母などの直系尊属 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹、一定の場合は甥・姪 |
事実婚や同性パートナーについては、この「法律上の配偶者」という立場がありません。
したがって、遺言書などの対策をしていなければ、パートナーではなく、亡くなった方の子、父母、兄弟姉妹などが財産を取得することがあります。
現在、多くの地方自治体でパートナーシップ制度などが設けられています。
こうした制度は、同性カップルなどが社会生活上の関係を公的に示すために重要な役割を果たしています。
一方、自治体のパートナーシップ制度を利用していることだけで、民法上の法定相続人になるわけではありません。
法定相続人の範囲は民法によって決められているためです。
そのため、パートナーシップ証明書があるから、財産も当然パートナーが相続できると考えず、財産承継については遺言書などを別途準備することが重要です。
法定相続人ではない人へ財産を残す代表的な方法が、遺言による「遺贈」です。
政府広報でも、遺言書を利用することで、内縁関係の人や血縁関係のない人など、民法上の法定相続人ではない人へ財産を分配できると案内されています。
たとえば、自宅マンション・預貯金・株式・自動車・その他の財産をパートナーへ遺贈する内容を遺言書に定めることができます。
遺言書の文言にも注意が必要です。
法務省は、自筆証書遺言の作成について、推定相続人以外の人には「相続させる」ではなく「遺贈する」と記載するよう案内しています。
したがって、法定相続人ではないパートナーへ自宅を残すのであれば、たとえば、
遺言者は、別紙財産目録第1記載の不動産を、○○○○(昭和○年○月○日生)に遺贈する。
といった記載が考えられます。
「譲る」「任せる」「あげる」など日常会話の表現だけではなく、法律関係が明確になる文言を使用することが重要です。
遺言書を作成するときには、「私の財産をパートナーに残す」という曖昧な表現だけではなく、どの財産を誰に遺贈するのかを明確にしておくことが重要です。
たとえば不動産であれば、登記事項証明書を確認します。
預貯金については、必要に応じて金融機関名、支店名、預金種別、口座番号などを確認します。
自動車であれば車検証などから車両を特定します。
自筆証書遺言では、財産を正確に特定するために財産目録を添付する方法もあります。法務省も、財産の特定には財産目録の添付が確実であると案内しています。
同性カップルや事実婚のカップルでは、双方がそれぞれ財産を所有していることも多いでしょう。
AさんがBさんへ財産を残すために遺言書を作っていても、BさんがAさんへ財産を残す遺言書を作っていなければ、Bさんが先に亡くなった場合にAさんが財産を取得できるとは限りません。
そのため、お互いに財産を残したいのであれば、双方がそれぞれ遺言書を作成することが重要です。
自筆証書遺言は、自分で作成できる遺言です。
費用を抑えやすく、自分のタイミングで作成できるというメリットがあります。
一方で、民法上の方式を守る必要があります。
本文、日付、氏名などについて自書が必要ですが、財産目録についてはパソコンで作成したものや、登記事項証明書・通帳のコピーなどを利用することができます。
自書によらない財産目録については、各ページへの署名・押印など所定の方式を守る必要があります。
また、自宅で保管する通常の自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所の検認が必要になります。
一方、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書については、検認は不要です。
公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思を確認して法律上の方式に従って作成する遺言です。
遺言には厳格な方式があるため、方式上の問題をできるだけ避けたい場合には有力な選択肢になります。
また、相続人ではないパートナーへ財産を遺贈する公正証書遺言を作成する場合には、受遺者を確認する資料などを準備します。日本公証人連合会も、相続人以外へ遺贈する場合には受遺者の住所等を確認できる資料を準備するよう案内しています。
不動産が含まれる場合には、登記事項証明書なども使用して遺言内容を整理します。
たとえば、「全財産を同性パートナーに残す」という遺言書が死亡後に発見された場合、法定相続人からすれば、自分たちではなく第三者に大部分の財産が渡ることになります。
そのため、家族関係によっては、遺言書の有効性をめぐる争いになる可能性があります。
公正証書遺言だから絶対に紛争が起こらないわけではありません。
しかし、公証人が本人確認や意思確認を行ったうえで作成するため、自筆証書遺言と比べて方式上の不備を防ぎやすく、本人の意思を明確に残しやすいというメリットがあります。
法律婚の配偶者には、遺言書がなくても民法上の相続権があります。
一方、法律上の配偶者ではないパートナーには、長年生活を共にしていたという事実だけで当然に法定相続権が生じるわけではありません。
何も準備をしていなければ、「一緒に購入資金を出して暮らしてきた自宅が、亡くなったパートナーの兄弟へ相続される」といった事態も起こり得ます。
そのため、「自分の財産はこの人に残したい」という意思がはっきりしている人ほど、その意思を有効な遺言書として残しておくことが重要です。
また、お互いが相手へ財産を残したいのであれば、2人ともそれぞれ独立した遺言書を作成しておきましょう。
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