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ご家族間での話し合い、情報共有は重要
換価分割は相続開始後に相続人が話し合って選択することもできますが、遺言書によって、特定の財産を売却してその代金を一定の割合で分ける方法を指定することも可能です。
民法第908条は、被相続人が遺言によって遺産の分割の方法を定めることができるとしています。
ただし、単に、自宅を売って子どもたちで分けることとだけ書いておけば十分とは限りません。
誰が売却するのか、どの費用を控除するのか、どの割合で分配するのか、不動産が売れない場合にどうするのかなども考えておく必要があります。
換価分割とは、遺産を売却して金銭に換え、その換価代金を分ける方法です。
国税庁も換価分割を遺産分割の一形態として取り扱い、換価時点で代金の取得割合が決まっている場合と、売却後に取得割合を決める場合を区別しています。
たとえば父親の主な財産が3,000万円程度の自宅だけで、相続人が長男と長女の2人だったとします。自宅を物理的に半分ずつ分けることは通常困難です。
そこで自宅を3,000万円で売却し、売却に必要な費用などを処理した後の金銭を、長男と長女で一定の割合により取得するという方法が換価分割です。
民法第908条では、被相続人が遺言によって遺産分割の方法を定めることが認められています。
そのため、この不動産を売却し、その代金を妻と子どもに一定割合で分配するという内容を遺言書に盛り込むことが考えられます。
このように、遺言者の死亡後に遺産を売却し、その代金を分配することを内容とする遺言は、実務上清算型言/遺換価型の遺言などと呼ばれることもあります。
重要なのは、不動産を誰かにそのまま取得させるのではなく、売却・換価すること自体を遺言内容として明確にしておくことです。
売却する財産を特定する
誰が換価を実行するのか決める
遺言執行者を指定する
遺言執行者の売却権限を明確にする
売却に必要な費用をどのように処理するか決める
換価後の金銭を誰にどの割合で分配するか決める
売却できない場合をどうするか検討する
受取人が遺言者より先に死亡した場合を考える
遺留分に問題がないか確認する
相続税・譲渡所得税を事前に確認する
第1条
遺言者は、下記不動産を換価し、その換価代金を第2条に定める割合により分配する。
不動産の表示
土地
所在 ○○市○○区○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○.○○平方メートル
建物
所在 ○○市○○区○○町○丁目○番地
家屋番号 ○番○
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階○○.○○平方メートル
2階○○.○○平方メートル
第2条
前条の換価代金から、当該不動産の売却に直接必要となった仲介手数料、測量費、登記関係費用その他換価に必要な費用を控除した残額を、次の割合で分配する。
妻 ○○花子 2分の1
長男 ○○一郎 4分の1
長女 ○○春子 4分の1
第3条
遺言者は、本遺言の遺言執行者として○○○○を指定する。
遺言執行者は、第1条記載の不動産について、売却の時期、方法及び条件を決定し、売買契約の締結、売却代金の受領、換価に必要な費用の支払い、換価代金の分配その他本遺言を実現するために必要な一切の行為をすることができる。
換価を伴う遺言では、不動産を売却すること・売却代金を管理すること・多額の金銭を複数人へ分配すること・登記や税務の手続きが発生することなど、単純な「自宅を長男に相続させる」という遺言よりも実行段階が複雑になります。
そのため、文言の解釈や方式上の問題をできるだけ減らしたい場合には、公正証書遺言を検討する意味があります。
また、遺言執行者となる予定の人にも事前に、死亡後に不動産を売却して分配する内容になっていると説明し、実際に対応可能か確認しておくとよいでしょう。
換価型の遺言は、一度作れば一生そのままでよいとは限りません。
たとえば、
自宅を生前に売却した
土地の一部を処分した
不動産を買い替えた
共有持分が変わった
住宅ローンを完済した
相続させる予定の人が亡くなった
家族の一人が自宅に住むことになった
場合には、当初の遺言内容が現在の希望と合わなくなっている可能性があります。財産や家族関係に大きな変化があったときには、遺言書も見直しましょう。
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大山悠太
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