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最初に確認したいのが、「誰が相続人なのか」と「被相続人がどのような財産を残していたのか」です。自分が把握している家族だけを前提にするのではなく、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍などを確認し、法定相続人を確定させます。
戸籍を調査すると、前婚の子どもや認知された子どもなど、それまでほかの親族が把握していなかった相続人が判明することもあります。また、相続人の一人がすでに亡くなっていれば、代襲相続や数次相続によって別の人が相続関係に加わっている可能性もあります。
相続人を確認したら、次に財産を調査します。
預貯金については、通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物などを手がかりに口座を確認し、必要に応じて金融機関所定の手続きによって残高証明書や取引履歴などを取得します。不動産については、固定資産税の納税通知書、名寄帳、登記事項証明書などから所有状況を確認できます。有価証券についても、証券会社から届いた書類などを確認し、必要に応じて口座の有無を調査します。
被相続人が亡くなった後、遺産分割が終わる前に相続人の一人が預貯金などの遺産を処分している場合には、その財産を遺産分割の中でどのように扱うのかを検討します。
現在の民法906条の2では、遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合でも、共同相続人全員の同意によって、その財産が遺産分割時にも存在するものとして扱うことができます。さらに、その財産を処分した相続人が特定できている場合には、その処分をした本人の同意は必要ありません。
ただし、いつ処分された財産なのか、誰が処分したのか、どのような目的で使用されたのかなどによって扱いは変わります。
被相続人が亡くなる前に、親族の一人が本人の承諾なく預金を引き出し、自分のために使用していたような場合には、死亡後の預金引出しとは考え方が異なります。
実際に無断で財産を取得していたことが認められる場合には、被相続人がその人に対して有していた不当利得返還請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権を相続人が承継している可能性があります。
もっとも、被相続人自身が贈与したのか、財産管理を任せていたのか、それとも本人に無断で取得されたのかによって結論は大きく異なります。特に、被相続人の生活費として使用された部分まで当然に返還対象になるわけではないため、預金の引出額だけを見て返還額を決めることはできません。
特定の相続人が多くの財産を取得しているからといって、必ず違法な「独り占め」になるわけではありません。有効な遺言書によって「長男に全財産を相続させる」などと指定されている場合には、原則としてその遺言に基づいて財産が承継されます。
ただし、配偶者、子ども、一定の場合の父母などには、法律上保障された最低限の取得分である「遺留分」が認められています。そのため、遺言や一定の贈与によって自分の遺留分が侵害されている場合には、財産を取得した人に対して「遺留分侵害額請求」を行い、侵害された額に相当する金銭の支払いを求めることができます。
有効な遺言書によって遺産の承継方法が決められておらず、相続人同士で誰がどの財産を取得するのか話し合っても合意できない場合には、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てる方法があります。
遺産分割調停では、家庭裁判所が当事者から事情を聴き、必要に応じて資料を確認しながら、それぞれの希望を踏まえて合意を目指して話し合いを進めます。当事者だけで協議を続ける場合とは異なり、裁判所の調停手続の中で争点を整理できるため、親族間で直接話し合うことが難しくなっている場合にも利用できます。
調停で合意が成立すれば、その内容を調停調書として残すことができます。一方、遺産分割調停で話し合いがまとまらなかった場合には、原則として審判手続へ移行し、家庭裁判所が提出された資料や事情などを踏まえて遺産の分割方法を判断します。
相続人の一人が預金を無断で取得したことなどをめぐって争いがあり、話し合いや調停でも解決できない場合には、不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求などの民事訴訟を検討することがあります。
訴訟では、「いくら引き出されたのか」という点だけでなく、その引出しを誰が行ったのか、被相続人の同意があったのか、何のために使用されたのかなどが問題になります。そのため、金融機関の取引履歴、被相続人の生活状況を示す資料、領収書、介護・医療関係の記録、当事者間のメールやメッセージなどが重要な証拠になる場合があります。
民事訴訟を提起した場合でも、必ず判決まで進むわけではなく、裁判手続の途中で和解が成立することもあります。
一方で、当事者間で合意できなければ、裁判所が提出された証拠や主張をもとに返還義務や支払額などについて判断します。
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