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終活でやっておきたいこと

初めに

終活と聞くと、遺言書や葬儀の準備をイメージする人も多いかもしれません。しかし、実際の終活には、身の回りの整理、老後の生活設計、医療や介護についての希望、家族へ伝えておきたい情報の整理など、さまざまな内容が含まれます。

すべてを一度に終わらせる必要はありません。まずは現在の財産や持ち物を確認し、そこから老後のお金、医療・介護、エンディングノート、遺言書へと少しずつ準備を広げていくと取り組みやすいでしょう。

所有している財産や持ち物を整理・記録する

終活を始める際には、まず自分が何を所有しているのかを整理することから始めるとよいでしょう。本人にとっては当たり前に分かっていることでも、亡くなった後に家族が預貯金、不動産、保険、証券口座などを一から調べるのは大きな負担になります。

預貯金であれば金融機関名や支店名、不動産であれば所在地、生命保険であれば保険会社や証券番号などを一覧にしておくと、相続開始後の財産調査を進めやすくなります。プラスの財産だけでなく、住宅ローン、借入金、クレジットカード、保証債務などがあれば、それらについても分かる範囲で記録しておくことが大切です。

また、財産以外の持ち物についても、残してほしいもの、処分してよいもの、家族や友人へ渡してほしいものなどを整理しておけば、遺品整理をする家族の負担を減らせます。写真、趣味の品、貴重品など、金銭的な価値だけでは判断しにくいものほど、本人の希望を残しておく意味があります。

老後に必要なお金を整理する

現在の財産を把握したら、次に老後の生活にどの程度のお金が必要になるかを確認します。老後資金は、世間で紹介されている平均額だけを基準にするのではなく、自分がどのような暮らしをしたいのかを踏まえて考えることが大切です。

まずは、年金など将来見込まれる収入と、生活費、住居費、医療費、介護費、保険料などの支出を整理します。持ち家なのか賃貸なのか、退職後も働く予定があるのか、介護が必要になった場合にどこで生活したいのかによっても必要な金額は変わります。

資産運用や不動産の売却などを検討する場合にも、「老後資金を増やすため」という理由だけですぐに実行するのではなく、税金や換金後の生活資金、価格変動のリスクなども確認しておく必要があります。NISAなどを活用した資産形成も選択肢の一つですが、自分の年齢や資産状況、必要となる時期に合わせて検討することが重要です。

終活における老後資金の整理は、できるだけ多くの財産を残すことが目的ではありません。自分自身の生活や介護に必要なお金を確保したうえで、将来どの程度の財産が残りそうなのかを把握することが、遺言や相続対策を考えるうえでも役立ちます。

自分で意思を伝えられなくなった場合に備える

病気や事故、認知機能の低下などによって、自分の希望を十分に伝えられなくなる可能性は誰にでもあります。そのため、元気なうちに、どのような医療や介護を希望するのか、大切にしたいことは何かについて家族などと話し合っておくことも終活の一つです。

たとえば、重い病気になった場合にどのような治療を希望するのか、療養するなら自宅と医療・介護施設のどちらを希望するのか、本人が意思を伝えられないときに誰に自分の考えを伝えてほしいのかなどを話し合っておくことが考えられます。

一度紙に書いて終わりにするのではなく、本人の考えは年齢や健康状態によって変わる可能性があります。そのため、希望を書き残すこととあわせて、家族や信頼できる人、必要に応じて医療・介護関係者と定期的に話し合い、内容を見直しておくことが大切です。

また、判断能力が低下した後の預貯金や不動産などの財産管理について心配がある場合には、任意後見などの制度を生前に検討することもできます。医療・介護についての希望と、財産管理についての備えは別の問題として、それぞれ準備しておくとよいでしょう。

エンディングノートに情報や希望をまとめる

財産の一覧や医療・介護についての希望、家族へ伝えておきたい情報は、エンディングノートにまとめておくと分かりやすくなります。エンディングノートは、自分に何かあったときに家族が必要な情報を確認できるようにするだけでなく、自分自身がこれからの生活を考えるきっかけとしても利用できます。

記載する内容に決まった形式はありません。財産や保険に関する情報、親族や友人の連絡先、葬儀やお墓についての希望、かかりつけの病院、利用している介護サービス、ペットの世話など、自分が家族に伝えておきたいことをまとめることができます。

インターネット上のサービスやSNS、ネット銀行、証券口座、サブスクリプションなどの「デジタル遺品」についても、利用しているサービスを一覧にしておくと家族が把握しやすくなります。ただし、エンディングノートにIDやパスワードそのものをすべて記載して誰でも見られる場所に置くと、不正利用につながるおそれがあります。サービスの存在やアカウント管理方法、パスワードを安全に保管している場所などを分かるようにしておく方法が考えられます。

なお、エンディングノートは遺言書とは異なり、原則として遺言のような法的効力を持つものではありません。

遺言書を作成する

終活の中でも、死亡後の財産承継について本人の意思を法的な形で残したい場合に重要になるのが遺言書です。誰にどの財産を相続させたいのか、相続人以外の人や団体へ財産を遺贈したいのかといった内容を、法律で定められた方式に従って残すことができます。

遺言書がない場合、相続人が複数いれば、具体的な財産の分け方について遺産分割協議が必要になることがあります。相続人全員の考えが一致すれば問題ありませんが、自宅を誰が取得するのか、過去の生前贈与をどう考えるのかなどをめぐって意見が対立することもあります。

「財産がそれほど多くないから遺言書は必要ない」と考える人もいますが、相続トラブルは高額な遺産に限って起きるものではありません。

もっとも、遺言書を作成すれば必ず相続争いを防げるわけではありません。内容があいまいで財産を特定できない場合や、遺留分をめぐる問題、遺言能力について争いが生じる場合もあります。

そのため、遺言書を作成するときには、単に財産の分け方を書くのではなく、現在の相続人や財産の内容を確認し、誰に何を承継させたいのかを明確にすることが大切です。財産関係や家族関係が複雑な場合には、行政書士など遺言・相続に詳しい専門家へ相談しながら内容を整理する方法もあります。

この記事の監修者

行政書士法人クローバー法務事務所代表行政書士 大山悠太

監修者

行政書士法人クローバー法務事務所

代表行政書士

大山悠太

経歴

プロフィール
【経歴】
 
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
 
2017年11月:行政書士試験合格
 
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
 
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
 
【保有資格】
 
TOEIC745
 
宅地建物取引士
 
行政書士(申請取次)
 
ビジネス実務法務検定2級
 
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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