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内縁の配偶者に財産を残す方法

初めに

長年にわたり夫婦として生活していても、婚姻届を提出していない内縁関係の場合、法律上の配偶者と同じ相続権が認められるわけではありません。そのため、何も対策をせずに亡くなってしまうと、一緒に暮らしてきたパートナーに財産を残せない可能性があります。

しかし、内縁関係にある相手に財産を残す方法がないわけではありません。生前に適切な準備をしておけば、法律上の婚姻関係がなくても、希望する相手に預貯金や不動産などを引き継いでもらうことが可能です。

遺言書を作成して財産を遺贈する

内縁の配偶者に財産を残す方法として、まず検討したいのが遺言書の作成です。

遺言書を利用すれば、法律上の相続人ではない人に対しても、預貯金や不動産などの財産を引き継がせることができます。このように、遺言によって財産を無償で与えることを「遺贈」といいます。

また、特定の預貯金を遺贈することや、遺産の全部または一定の割合を遺贈することも可能です。

遺言書では財産と受遺者を明確に指定することが重要

遺言書を作成する際には、誰にどの財産を残すのかを具体的に記載する必要があります。

財産を取得させる場合には「遺贈する」という法律上の意味が明確な表現を使用し、受遺者の氏名や生年月日などの情報も正確に記載することが大切です。

また、内縁の配偶者に遺贈する場合、ほかの法定相続人との関係にも注意が必要です。特に、被相続人に子どもや父母などの遺留分を有する相続人がいる場合には、遺贈の内容によって遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。

さらに、内縁の配偶者は法律上の配偶者ではないため、相続税の配偶者の税額軽減を利用することはできず、相続税額の2割加算の対象になることがあります。

そのため、財産の内容や相続人の構成、税金の負担なども確認したうえで、遺贈する財産を検討することが重要です。

公正証書遺言を利用することも有効

内縁の配偶者への遺贈を確実に実現するためには、遺言書の方式にも注意する必要があります。

自筆証書遺言は自分で作成できますが、法律上の方式に不備がある場合には無効となるおそれがあります。また、遺言書の内容が不明確であると、相続人と受遺者との間で争いが生じる可能性もあります。

そのため、公証人が法律上の方式に従って作成する公正証書遺言を利用することも有効な方法です。公正証書遺言であれば、方式の不備による無効のリスクを軽減できるほか、原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのリスクも抑えられます。

また、遺言執行者を指定しておくことで、相続開始後の財産の承継手続きを進めやすくなることもあります。

内縁の配偶者に財産を残したい場合には、遺言書の作成だけでなく、相続開始後に必要となる手続きまで考慮して準備しておくことが望ましいでしょう。

生前贈与によって財産を渡しておく

内縁の配偶者に財産を残す方法として、生前贈与を利用することも考えられます。

生前贈与とは、自分が生きている間に財産を無償で相手に渡すことです。相続とは異なり、財産を受け取る人が法定相続人である必要はないため、内縁の配偶者にも預貯金や不動産などを贈与できます。

生前贈与のメリットは、贈与者が生きている間に財産の移転を行えることです。贈与が適切に成立していれば、相手が財産を取得したことを本人が確認でき、必要に応じてその後の生活についても相談できます。

ただし、生前贈与を行う際には、贈与税や財産の管理について注意が必要です。

特別縁故者として財産分与を受ける

内縁の配偶者が、被相続人の死亡後に財産を取得できる可能性がある制度として「特別縁故者に対する相続財産分与」があります。

特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた人や、療養看護に尽くした人など、亡くなった方と特別な関係にあった人のことです。

例えば、長年にわたって内縁の夫と同居し、生活費を分担しながら夫婦として暮らしていた女性は、特別縁故者に該当する可能性があります。また、被相続人が病気になった際に、長期間にわたり看護や生活支援を行っていた場合なども、判断の際に考慮されることがあります。

ただし、内縁関係にあれば必ず財産を取得できるわけではありません。

生命保険の死亡保険金受取人に指定する

内縁の配偶者にまとまった金銭を残したい場合には、生命保険を活用する方法もあります。

生命保険では、被保険者が亡くなった際に死亡保険金を受け取る人を指定することができます。死亡保険金は、原則として指定された受取人が固有の権利として取得するため、通常の遺産分割協議を経ずに受け取ることができます。

この方法は、相続開始後の生活費や住居費など、すぐに必要となる資金を準備したい場合に役立つことがあります。

内縁の配偶者を受取人に指定できるかは保険会社によって異なる

生命保険の死亡保険金受取人は、一般的に配偶者や一定範囲内の親族が想定されています。しかし、保険会社によっては、一定の条件を満たす内縁の配偶者を受取人として認める場合があります。

ただし、具体的な取扱いは保険会社や保険商品によって異なるため、契約前に確認する必要があります。

また、内縁の配偶者が死亡保険金を受け取る場合には、税金にも注意が必要です。

生命保険は内縁の配偶者に現金を残す方法として有効ですが、受取人指定の条件や税負担を確認したうえで利用することが重要です。

法律上の婚姻関係を成立させる

内縁関係にあるパートナーと法律上の婚姻関係を成立させることも、財産の承継を考えるうえで一つの方法です。

婚姻届を提出し、法律上の夫婦となれば、配偶者は民法上の法定相続人となります。配偶者は常に相続人となるため、被相続人に子どもや父母、兄弟姉妹などがいる場合でも、法律で定められた相続分が認められます。

例えば、夫が亡くなり、妻と子ども2人が相続人となった場合、法定相続分は妻が2分の1、子ども2人がそれぞれ4分の1となります。

一方、法律上の婚姻関係がない場合には、長年夫婦として生活していても、内縁の配偶者はこの法定相続分を取得できません。

法律上の配偶者には相続税の優遇措置もある

法律上の婚姻関係を成立させることで、相続税に関する一定の優遇措置を利用できる可能性もあります。

また、一定の条件を満たす場合には、配偶者居住権など、法律上の配偶者を対象とした制度を利用できる可能性もあります。

ただし、法律上の婚姻関係を成立させることは、相続だけでなく、日常生活や財産関係にも影響する重要な選択です。家庭の事情や本人同士の考え方によっては、婚姻届を提出することが難しい場合もあるでしょう。

そのため、相続対策だけを目的として婚姻を急ぐのではなく、双方の意思を十分に確認しながら検討することが大切です。

法律上の婚姻関係を成立させない場合でも、遺言書や生前贈与、生命保険などを利用することで、内縁の配偶者に財産を残すための準備を進めることができます。

内縁の配偶者に財産を残すためには遺言書の作成が重要

内縁の配偶者は、法律上の婚姻関係がある配偶者とは異なり、原則として法定相続人にはなりません。そのため、長年にわたり生活を共にしていたとしても、何も準備をしていなければ、希望する財産を引き継いでもらえない可能性があります。

内縁の配偶者に財産を残す方法には、生前贈与や生命保険の活用、法律上の婚姻関係を成立させる方法などがあります。また、法定相続人がいない場合には、特別縁故者として財産分与を受けられる可能性もありますが、必ず認められる制度ではありません。

こうした方法の中でも、法律上の婚姻関係を成立させずに、死亡後の財産の承継先を明確に指定したい場合には、遺言書による遺贈が有力な選択肢となります。

ただし、遺言書を作成する際には、ほかの相続人の遺留分や相続税の負担、財産の種類、受遺者が行う手続きなどについても検討する必要があります。

大切なパートナーが自分の死後も安心して生活できるようにするためには、将来の相続を見据えて早めに準備を進めることが重要です。内縁関係にある方への財産の承継を検討している場合には、必要に応じて専門家に相談しながら、ご自身の希望や家族関係に合った遺言書の作成を進めることをおすすめします。

この記事の監修者

行政書士法人クローバー法務事務所代表行政書士 大山悠太

監修者

行政書士法人クローバー法務事務所

代表行政書士

大山悠太

経歴

プロフィール
【経歴】
 
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
 
2017年11月:行政書士試験合格
 
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
 
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
 
【保有資格】
 
TOEIC745
 
宅地建物取引士
 
行政書士(申請取次)
 
ビジネス実務法務検定2級
 
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第19261116号

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