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特定遺贈は、遺産全体の割合を指定する包括遺贈とは異なり、受遺者が取得する財産をあらかじめ明確にできることが特徴です。
また、遺贈の放棄について原則として期間の制限がなく、被相続人の借入金などの債務を当然には引き継がないという利点もあります。
特定遺贈の大きなメリットは、財産を受け取る人と、その人に引き継がせる財産を具体的に決められることです。
遺言書を作成する際には、遺言者自身の希望に基づいて財産の承継先を指定できます。特定遺贈を利用すれば、預貯金や不動産などのうち、どの財産を誰に取得してもらうかを明確に記載することができます。
この場合、「所有する〇〇市所在の土地および建物を友人Aに遺贈する」という内容の遺言書を作成することで、Aに取得させたい財産を具体的に指定できます。
一方、包括遺贈では「全財産の5分の2をAに遺贈する」といった形で割合を指定するため、Aが具体的にどの財産を取得するかについて、ほかの相続人との協議が必要になる場合があります。
特定遺贈であれば、遺言書によって取得する財産が指定されているため、その財産の取得者を決めるための遺産分割協議は原則として必要ありません。
遺産分割協議では、相続人それぞれの希望が異なることで、話し合いが長期化する場合があります。特に、不動産など簡単に分割できない財産が含まれている場合には、誰が取得するかをめぐって意見が対立することも考えられます。
また、法定相続人ではない友人や知人に財産を残したい場合には、相続人との関係によって手続きが複雑になる可能性もあります。
特定遺贈によって財産の承継先をあらかじめ指定しておけば、相続開始後に誰がその財産を取得するかを話し合う必要性を減らせるため、相続人や受遺者の負担を軽減しやすくなります。
ただし、特定遺贈を行えば、すべての相続トラブルを防げるわけではありません。
例えば、遺留分を有する相続人の権利を侵害している場合には、受遺者が遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。また、遺言書で指定した不動産の表示が不明確であったり、遺言書の有効性が争われたりすることも考えられます。
そのため、特定遺贈を利用する際には、受遺者の氏名や住所、財産の内容などを正確に記載することが大切です。
特定遺贈のもう一つのメリットは、受遺者が遺贈を放棄する際に、原則として法律上の期間制限が設けられていないことです。
遺言書で財産を取得する人として指定されていても、受遺者が必ず遺贈を受け入れなければならないわけではありません。
例えば、遠方の土地を遺贈されたものの、管理や維持に負担がかかる場合や、受け取る財産に高額な管理費用が発生する場合などには、遺贈を受け入れるかどうかを慎重に判断する必要があります。
民法第986条では、受遺者は遺言者の死亡後、いつでも遺贈を放棄することができると定められています。
そのため、特定遺贈の場合には、包括遺贈のように原則3か月以内に家庭裁判所で放棄の申述を行わなければならないという決まりはありません。
特定遺贈を放棄する場合、原則として家庭裁判所に申述する必要はなく、遺贈義務者などに対して放棄する意思を表示する方法によって手続きを行います。
遺贈義務者とは、遺贈の内容を実現する義務を負う人のことで、一般的には相続人や遺言執行者などが関係します。
例えば、遺言者が友人Aに別荘を遺贈する内容の遺言書を残したものの、Aが遠方に住んでおり、別荘の維持管理を行うことが難しい場合を考えてみましょう。
この場合、Aは別荘を取得せず、特定遺贈を放棄することができます。
特定遺贈の放棄については、法律上、必ず書面で行わなければならないという一般的な方式の定めはありません。そのため、口頭による意思表示も可能とされています。
ただし、口頭で放棄を伝えた場合には、後から放棄の有無や意思表示の時期について争いが生じる可能性があります。
そのため、実際に放棄する際には、放棄する財産や受遺者の意思を明確に記載した書面を作成するなど、後から確認できる形で手続きを進めることが望ましいでしょう。
特定遺贈には、被相続人が残した借入金などの債務を、受遺者が原則として当然に引き継ぐことはないというメリットがあります。
相続財産には、預貯金や不動産、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借入金や未払金などのマイナスの財産も含まれます。
一方、特定遺贈では、遺言書で指定された財産を個別に取得するため、原則として被相続人の債務を当然に承継することはありません。
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