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著作権を相続するときに必要な手続きと流れ

初めに

ご家族間での話し合い、情報共有は重要

亡亡くなった人が小説、イラスト、写真、楽曲、映像などの著作財産権を持っていた場合、その権利も預貯金や不動産などと同じように相続の対象となります。

ただし、著作権は目に見えない財産であるため、相続財産として存在していること自体を見落としたり、すでに出版社や著作権管理団体との契約によって権利関係が変わっていたりすることがあります。

また、著作財産権については、誰が相続するのかを決めれば手続きがすべて終了するわけではありません。

そのため、著作権の相続では、順番で進めると整理しやすくなります。

STEP1|相続の対象となる著作財産権を調査する

最初に、亡くなった人がどのような著作物を制作し、そのうちどの著作財産権を死亡時点で保有していたのかを確認します。

生前に著作財産権を出版社や制作会社へ譲渡している場合や、契約によって一定の権利を管理団体へ預けている場合があります。そのため、出版契約書、著作権譲渡契約書、ライセンス契約書、印税明細、出版社や著作権管理団体から届いた書類なども確認する必要があります。

また、著作物の原稿、絵画、写真データなど「作品そのものの所有権」と、その作品を複製・配信・商品化する「著作財産権」は別の権利です。

原画を相続したからといって、当然にその作品の著作財産権まで取得するとは限らないため、相続財産を整理するときには両者を区別して確認することが重要です。

STEP2|遺言書が残されていないか確認する

著作財産権の内容を確認したら、次に被相続人が遺言書を残していないかを確認します。

有効な遺言によって「○○という作品の著作権は長女に相続させる」「自分が保有する著作権一切を○○に遺贈する」などと指定されていれば、原則としてその内容を前提に手続きを進めます。

遺言書は自宅の書類や金庫などから見つかる場合だけでなく、公正証書遺言として公証役場で作成されている場合や、自筆証書遺言書保管制度を利用して法務局に保管されている場合もあります。

自宅などで保管されていた自筆証書遺言については、原則として家庭裁判所で検認の手続きが必要です。

一方、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管されていた遺言書については検認が不要です。

なお、遺言書があっても、すべての著作財産権について取得者が指定されているとは限りません。遺言に記載されていない作品や権利が残っている場合には、その部分について別途遺産分割が必要になることがあります。

STEP3|遺言で取得者が決まっていない著作財産権について遺産分割を行う

著作財産権について有効な遺言による指定がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がその権利を取得するのかを決めます。

遺産分割協議を始める前には、被相続人の出生から死亡までの戸籍などを確認し、法定相続人を正確に確定しておくことが重要です。本来参加すべき相続人を除いた状態で遺産分割を成立させることはできないためです。

特に継続的に出版、配信、商品化などが予定されている作品については、複数の相続人による共有状態にすると、将来の利用許諾や契約について調整が必要になる可能性があります。

著作権法では、共有著作権について原則として共有者全員の合意がなければ行使できないという特有のルールがあるため、死亡後にどのように作品を管理していくのかまで考えて取得者を決めることが大切です。

相続人同士で話し合っても分割方法が決まらない場合には、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てることができます。調停では、裁判所が当事者から事情を聴き、必要な資料などを確認しながら合意を目指します。調停が成立しなかった場合には、原則として審判手続へ移行し、家庭裁判所が遺産の種類や性質などを考慮して分割方法を判断します。

STEP4|出版社や管理団体への承継手続き・著作権登録を確認する

著作財産権を取得する人が決まったら、被相続人が契約していた出版社、制作会社、著作権管理団体などへ連絡し、必要な承継手続きを行います。

出版社から印税を受け取っていた場合にも、契約内容を確認したうえで、相続人や受遺者へ支払先を変更する手続きなどが必要になることがあります。出版社によって必要書類は異なるため、遺産分割協議書、戸籍関係書類、遺言書など、どの資料が必要なのかを個別に確認します。

また、著作財産権は、相続したからといって必ず文化庁へ登録しなければならないわけではありません。しかし、一定の場合には「著作権の移転登録」が重要になります。

たとえば兄弟2人が相続人であるところ、遺産分割によって兄が著作財産権の全部を取得することになった場合には、法定相続分を超えて取得した部分について第三者との関係で問題が生じる可能性があります。

作品の商業利用が続いている場合や、著作財産権の価値が高い場合には、移転登録が必要かどうかも確認しておくことが大切です。

STEP5|今後の著作権管理方法を決める

相続後は、著作財産権をどのように管理するのかを決める必要があります。

著作権は不動産のように保有しているだけの財産とは異なり、第三者から作品を利用したいという申込みを受けたり、既存の契約から印税やライセンス料が発生したりすることがあります。

また、作品がインターネットなどで無断利用されていないかを確認し、必要に応じて対応することも著作権管理の一つです。

作品数が少なく利用もほとんどない場合には相続人自身で管理できることもありますが、多数の楽曲や作品から継続的に収益が発生している場合には、管理負担が大きくなります。

重要なのは、「著作権を相続した人」と「実際に利用許諾や使用料の管理を担当する人」を曖昧にしないことです。特に複数人で著作権を共有する場合には、誰が問い合わせ窓口になるのか、利用許諾についてどのように意思決定するのかを決めておくと、その後の管理がしやすくなります。

STEP6|相続税の対象になるか確認する

著作財産権には経済的な価値があるため、相続税の課税対象となる財産に含まれます。国税庁も、現金、不動産、有価証券などだけでなく、特許権や著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のある権利を相続税の対象となる財産として挙げています。

相続税の申告が必要となるかどうかは、著作権だけで判断するのではなく、預貯金、不動産、有価証券などを含めた相続財産全体について確認します。申告・納付期限は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。

著作権については、不動産のように単純に市場価格を確認することが難しいため、税務上の評価方法にも注意が必要です。

国税庁の財産評価基本通達では、著作権について原則として「年平均印税収入の額×0.5×評価倍率」という方法で評価することとされており、年平均印税収入については原則として課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入を基準として計算します。

作品ごとの権利関係や収益状況によって評価が複雑になることもあるため、相続税の申告や著作財産権の評価については税理士へ確認することになります。

この記事の監修者

行政書士法人クローバー法務事務所代表行政書士 大山悠太

監修者

行政書士法人クローバー法務事務所

代表行政書士

大山悠太

経歴

プロフィール
【経歴】
 
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
 
2017年11月:行政書士試験合格
 
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
 
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
 
【保有資格】
 
TOEIC745
 
宅地建物取引士
 
行政書士(申請取次)
 
ビジネス実務法務検定2級
 
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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