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著作権者が亡くなったら著作権の相続

初めに

ご家族間での話し合い、情報共有は重要

小説、イラスト、写真、音楽、映像などを制作した人が亡くなっても、その人が持っていた著作権がすべて直ちに消滅するわけではありません。

著作権のうち、複製権、公衆送信権、譲渡権、翻案権など経済的な価値を持つ「著作財産権」は財産として扱われるため、原則として相続や遺贈の対象になります。

そのため、著作者が亡くなった後に作品を出版したり、Webサイトへ掲載したり、商品化したりする場合には、現在誰が著作財産権を持っているのかを確認する必要があります。遺言書がある場合にはその内容が重要となり、遺言書がない場合には法定相続人による遺産分割が問題になります。

遺言書がある場合

著作者が有効な遺言書を残している場合には、まずその内容を確認します。たとえば、「自分が保有する小説○○の著作権を長男に相続させる」と記載されていれば、原則として遺言の内容に従って長男がその著作財産権を取得することになります。

また、著作財産権を渡す相手は法定相続人だけに限られません。遺言によって、相続人ではない親族や知人、法人などへ著作財産権を「遺贈」することも可能です。

著作権には作品の利用許諾や印税収入などが関係することもあるため、複数の作品を保有している場合には、「著作権一切を長男に相続させる」とだけ記載するよりも、どの作品について、どの著作財産権を、誰に承継させるのかを具体的に整理しておくと、死亡後の管理がしやすくなります。

遺言書が無効な場合は法定相続による処理が必要になる

遺言書が残されていても、その遺言が法律上有効であることが前提です。

自筆証書遺言について必要な方式を満たしていない場合や、遺言作成時に本人に遺言能力がなかったと判断される場合などには、遺言の全部または一部が無効となる可能性があります。

その結果、著作財産権について有効な指定がないことになれば、ほかの相続財産と同様に、法定相続や遺産分割によって取得者を決めることになります。

そのため、「遺言書に著作権のことが書かれているから大丈夫」と考えるのではなく、遺言書そのものが有効か、対象となる作品や権利が十分に特定されているかも確認する必要があります。

遺言書がない場合

著作財産権について有効な遺言による指定がない場合には、ほかの財産と同じように法定相続の対象になります。

法定相続人となるのは、原則として配偶者と、民法で定められた順位に従う親族です。配偶者は常に相続人となり、配偶者以外については、第1順位が子ども、第2順位が父母や祖父母などの直系尊属、第3順位が兄弟姉妹となります。

著作財産権も相続財産の一つであるため、遺産分割協議では預貯金や不動産だけでなく、著作財産権についても「誰が取得するのか」を決めておくことが重要です。

遺産分割が終わるまでは複数の相続人による共有状態になることがある

相続人が複数いる場合、著作財産権を誰が取得するのか決まるまで、共同相続人の間で権利関係を整理しなければならないことがあります。

著作財産権について特に注意したいのは、共有著作権には著作権法独自のルールがあることです。著作権法65条では、共有著作権は原則として共有者全員の合意がなければ行使できないとされています。また、自分の持分を第三者へ譲渡する場合にも、原則としてほかの共有者の同意が必要です。

作品の利用が継続的に予定されている場合には、著作財産権を複数人の共有のまま残すよりも、遺産分割協議によって特定の相続人へまとめて承継させ、そのほかの相続人には別の財産を取得させる方法を検討することも考えられます。

遺言書に著作権について書かれていない場合も遺産分割の対象になる

遺言書があるからといって、必ず著作財産権の取得者まで決まっているとは限りません。

このような場合には、遺言書全体の内容を確認したうえで、遺言によって処分されていない著作財産権について法定相続や遺産分割による処理が必要になることがあります。

著作権は不動産や預貯金のように目に見える財産ではないため、相続財産の調査段階で見落とされることがあります。

被相続人が作家、漫画家、写真家、デザイナー、作曲家、動画制作者などであった場合には、作品そのものだけでなく、著作財産権や出版社・制作会社との契約、印税や使用料を受け取る権利などについても確認しておくことが重要です。

著作財産権が消滅した後は著作権の許諾なしで利用できる

著作権法62条によって著作財産権が消滅すれば、その著作財産権について権利者から利用許諾を得る必要はなくなります。

通常、個人が著作者である著作物の著作権は、原則として著作者の死後70年間存続します。

しかし、相続人不存在などにより著作権法62条の要件を満たして著作財産権が消滅した場合には、通常の保護期間が残っていたとしても、その財産権はそこで消滅します。著作権法は、通常の保護期間について原則として著作者の死後70年間と定めています。

ただし、著作財産権がなくなったからといって、故人の著作物をどのように扱っても一切問題がないという意味ではありません。著作者が亡くなった後の人格的利益については、別の規定による保護が残ります。

著作者の死後も作品の人格的利益は一定の保護を受ける

著作者人格権そのものは相続されませんが、「著作者が死亡したから作品を自由に改変してよい」ということにはなりません。

著作権法60条では、著作者が亡くなった後であっても、仮に本人が生きていれば著作者人格権の侵害となるような行為を原則として行ってはならないと定めています。

また、一定の遺族は、著作者の死後の人格的利益を侵害する行為について、差止めなどの措置を求めることができる場合があります。

そのため、著作財産権を相続した人がいる場合でも、その人が著作者本人とまったく同じように作品を自由に改変できるとは限りません。

この記事の監修者

行政書士法人クローバー法務事務所代表行政書士 大山悠太

監修者

行政書士法人クローバー法務事務所

代表行政書士

大山悠太

経歴

プロフィール
【経歴】
 
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
 
2017年11月:行政書士試験合格
 
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
 
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
 
【保有資格】
 
TOEIC745
 
宅地建物取引士
 
行政書士(申請取次)
 
ビジネス実務法務検定2級
 
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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