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特定の子どもに多くの財産を相続させる遺言書の作成ポイント

初めに

子どもが複数いる場合でも、家族それぞれの事情によって、財産を残したい割合が異なることがあります。例えば、長年にわたって介護や日常生活の世話をしてくれた長女に、ほかの子どもより多くの財産を残したいと考える方もいるでしょう。

このような場合には、遺言書を作成することで、法定相続分とは異なる財産の分配方法を指定することができます。

ただし、特定の子どもに多くの財産を相続させる遺言書では、遺言者本人の意思を明確にするだけでなく、ほかの相続人の遺留分や、指定した子どもが先に亡くなった場合への備えなども考慮する必要があります。

遺言者本人の意思を明確に確認する

特定の子どもに多くの財産を残す遺言書を作成する際には、まず遺言者本人の意思を十分に確認することが重要です。

例えば、母親が長年にわたって生活の世話をしてくれた長女に対し、長男よりも多くの財産を相続させたいと考えている場合を想定します。

この場合、単に「長女が面倒を見てくれているから財産を多く残す」という理由だけで遺言内容を決めるのではなく、母親自身がどのような考えを持っているのか、どの財産を誰に残したいのかを具体的に整理する必要があります。

特に、子どもによって取得する財産の割合が大きく異なる場合には、相続開始後にほかの相続人が遺言内容に疑問を持つ可能性もあります。そのため、遺言者が自分の意思に基づいて財産の分配方法を決めたことを明確にしておくことが大切です。

指定した子どもが先に亡くなった場合に備えて予備的遺言を記載する

特定の子どもに多くの財産を相続させる場合には、その子どもが遺言者より先に亡くなる可能性についても考えておく必要があります。

例えば、母親が長女に自宅と預貯金の大部分を相続させる遺言書を作成したものの、その後、母親より先に長女が亡くなってしまった場合を想定します。

この場合、原則として、長女に財産を相続させるという遺言の指定は効力を生じません。

また、長女に子どもがいたとしても、遺言書に特別な定めがなければ、長女が取得する予定だった財産が当然にその子どもへ引き継がれるわけではありません。

そのため、ほかの有効な遺言条項によって承継先が定められていなければ、当該財産について相続人間で遺産分割協議が必要になる可能性があります。

このような事態に備える方法として有効なのが「予備的遺言」です。

ほかの子どもの遺留分に配慮する

特定の子どもに多くの財産を残す場合には、ほかの相続人に認められる遺留分にも注意する必要があります。

遺留分とは、配偶者や子ども、一定の場合の父母などの相続人に保障されている最低限の遺産取得利益のことです。

例えば、母親が長女と長男の2人の子どもを持ち、長女に全財産を相続させる遺言書を作成した場合、長男は財産を取得できなくなる可能性があります。

しかし、長男には法律上の遺留分が認められているため、長女に対して遺留分侵害額請求を行うことがあります。

将来の財産管理に備えて任意後見契約の利用も検討する

特定の子どもに財産を多く残すために遺言書を作成する場合には、相続開始後のことだけでなく、遺言者自身の今後の生活についても考えておくことが大切です。

例えば、一人暮らしの高齢者が、将来の相続に備えて遺言書を作成する場合、今後、認知症などによって判断能力が低下し、預貯金の管理や各種契約の手続きが難しくなる可能性も考えられます。

遺言書は、原則として遺言者が亡くなった後に効力が生じるものです。そのため、遺言書を作成しただけでは、生前に判断能力が低下した場合の財産管理まで対応できるわけではありません。

このような将来の状況に備える方法の一つとして、「任意後見契約」があります。

任意後見契約とは

任意後見契約とは、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、自分に代わって財産管理や生活に関する法律上の手続きを行う人を、あらかじめ決めておく契約です。

任意後見契約では、本人が判断能力を有しているうちに、信頼できる人を任意後見受任者として選び、委任する事務の内容などを定めます。

例えば、将来判断能力が低下した場合に、預貯金の管理や介護サービスの契約、医療費や施設利用料の支払いなどを任せることが考えられます。

また、任意後見契約は、公正証書によって締結する必要があります。

法定後見制度では、家庭裁判所が成年後見人などを選任しますが、任意後見契約では、本人が判断能力を有しているうちに、将来の任意後見人となる人を選べることが大きな特徴です。

この記事の監修者

行政書士法人クローバー法務事務所代表行政書士 大山悠太

監修者

行政書士法人クローバー法務事務所

代表行政書士

大山悠太

経歴

プロフィール
【経歴】
 
2016年4月:同志社大学法学部法律学科卒業後、新卒で不動産デベロッパーへ入社。入社後はマンション売買営業、人事部で新卒採用業務に従事。
 
2017年11月:行政書士試験合格
 
2019年5月:退職後、リンクス綜合法務行政書士オフィス開業
 
2023年1月:行政書士法人クローバー法務事務所へ法人化
 
【保有資格】
 
TOEIC745
 
宅地建物取引士
 
行政書士(申請取次)
 
ビジネス実務法務検定2級
 
【日本行政書士連合会登録番号】
第19261116号

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